自民党の最低賃金一元化推進議員連盟(会長・衛藤征士郎衆院議員)は6月11日、国会内で総会を開き、コロナ禍でも最賃を引き上げるべきとする緊急提言を確認した。党幹部に要請し、英断を求める考えだ。都市一極集中の是正には全国一律が必要だとして、その際の中小企業支援策の財源として内部留保課税の検討も示唆している。
提言は「(経済成長の源泉である)生産性とは賃金水準そのものであり、賃金が上がらなければ将来の社会保障も支えられない」と指摘。「コロナ禍の厳しい状況でも、将来を見通し、最賃の水準を少しでも上げることに取り組まなければならない」と強調する。
新型コロナの影響を避けようと、若者が地方への移住を考える際、最賃の地域間格差はその妨げになるとも述べ、「東京一極集中を是正する観点からも全国一律最賃は不可欠」とした。
全国一律には約10年の経過措置をとり、中小企業への安定的で効果的な支援策が必要とする。財源は、内部留保に0・5%課税し毎年2兆2500億円を確保する意見を紹介している。
幹事長の山本幸三・元地方創生担当相は、安倍首相が6月、政府の全世代型社会保障検討会議でコロナ禍を理由に最賃引き上げに慎重姿勢を示したとの報道に触れ「ぶったまげた。将来の社会保障を維持できないと言っているのと同じだ。こんなばかな話が政府でされているとすれば、しっかり正していかなければならない」と語った。
〈写真〉自民党最賃議連の総会ではデービッド・アトキンソン氏が講演。英国が今年最賃を過去最高の6%引き上げた経緯などを紹介した
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