今年は、広島と長崎に原爆が投下されて75年、核不拡散条約(NPT)の発効から50年という大きな節目の年に当たる。新型コロナウイルス感染拡大の影響がある中、原水爆禁止大会などは例年とは違う形での取り組みとなる。
●連合―ウエブ配信で
連合は沖縄(6月23日)と、広島、長崎(ともに8月)、北海道・根室(9月)の行動を「平和4行動」として取り組んできたが、今年は中止(根室は6月の中執で確認予定)する。
連帯活動局の森啓記局長は「戦後75年でもあり、重要な取り組みだったが、全国の構成組織、地方連合会から多くの組合員が集まることによる感染リスクを考えると、中止を決断せざるを得なかった」という。
予定していた行動日には神津里季生会長や現地からのメッセージなどをウエブで配信する予定だ。沖縄行動では、玉城デニー県知事のメッセージも紹介することにしている。
特別企画として、全地方連合会の若い組合員が平和や未来への思いを旗に書き込む「希望の旗」の取り組みを行っている。連合が地方連合会から寄せられたものを縫い合わせて一つの大きな旗とした。その作業映像や「平和検定」などの学習資料も配信する。
●KAKKIN―縮小開催
核兵器廃絶・平和建設国民会議(KAKKIN)は、広島平和地方集会(8月5日)と長崎平和全国集会(同8日)について、規模を縮小して開催する方向で話し合っているという。
岩附宏幸事務局長は「例年、寄せられたカンパを集会で被爆者支援団体などに手渡している。規模を縮小しても開催したい。毎年、韓国に住む被爆者への支援活動(10月)も行っているが、現段階では海外渡航が難しく、どのように取り組むか検討中だ」と話す。
●原水禁―オンライン集会
原水爆禁止日本国民会議(原水禁)は、広島大会(8月6日)、長崎大会(8月9日)、福島大会(8月12日)をインターネット動画サイト、ユーチューブを利用したオンライン集会とする。シンポジウムや分科会のネット配信も準備している。
分科会では核兵器廃絶や沖縄、エネルギー問題など六つのテーマを企画。井上年弘事務局次長は「各地で学習資材として活用できるように討議資料(冊子)も作成中」と語る。
●原水協―世界行動に呼応
原水爆禁止日本協議会(日本原水協)は、8月6日(広島)と9日(長崎)を中心に「オンライン世界大会」を開く。国際会議もオンラインで開催し、草の根からの国際的な連帯行動として「平和の波」を呼びかけている。日本政府に核兵器禁止条約の調印・批准を求める自治体の意見書採択の取り組みや、オンラインによる被爆者の証言活動、ヒバクシャ国際署名(オンライン署名)の取り組みも提起している。
〈メモ〉
2017年に国連で採択された核兵器禁止条約は現在、批准が38カ国となり、条約発効に必要な批准国数(50カ国)まであと12カ国に迫っている。世界で核兵器廃絶への機運が高まる中、今年2月に米国は小型核弾頭の実戦配備を発表、6月にはロシアのプーチン大統領が核兵器使用を容認する「国家政策指針」に署名するなど、核兵器使用の危険が一段と高まっている。
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