官製ワーキングプア研究会の「新型コロナウイルスによる公共サービスを担う労働者への影響調査アンケート」で、自治体などの非正規労働者が感染の不安を抱えながら激務をこなしている状況がわかった。正職員と違って在宅勤務ができず、感染防護具が支給されないなどの差別を訴える声も切実だ。
調査はインターネットを通じて5月1日から実施。9日時点で183人が回答し「一定の傾向が明らかになった」として、このほど中間集約結果を発表した。
●相談業務が激増
回答者のうち女性が約8割、自治体の会計年度任用職員など非正規関連労働者が7割を占める。低賃金で雇用が不安定な働き方のまま、新型コロナに対応せざるを得なくなっている構図だ。
それによると、新型コロナによって仕事や勤務内容に不利益が生じた人は74人。内訳(複数回答)では「仕事の量や時間が増えた」が38人で最も多かった。「1日の来所者が100人程度あり、窓口での対応は恐怖」などの声もあった。学童保育や相談支援、介護などに従事する職員は仕事を休めず、人員が少ない中で過重労働になっている。
学童保育の場合、学校が休校になった影響で子どもたちを朝から預かることになり、従来の午後勤務が終日勤務になっている。相談支援員も、家庭内暴力(DV)や児童虐待の増加、生活困窮者への対応が増えたという。
不利益内容で次に多かったのが「正規職員と異なる取り扱いをされた」で、14人が指摘した。「正職員が在宅勤務で職場におらず、直接の支援業務を行う非常勤だけがいつも通り働いている」「正規は在宅という特別休暇。相談員は年休を取ることも止められている」などである。
●不十分な感染対策
職場の感染症対策で不安なことを挙げてもらったところ、(1)3密が解消されていない(2)近接・接触による支援をしている(3)対面での相談業務をしている――が多かった。
同研究会は「相談支援従事者と保育所保育士が特に、感染リスク(感染することと感染させることの両方)に対する強い不安を抱きながら仕事をしている」と指摘している。
同研究会は5月31日まで調査を継続しつつ、政府・自治体に改善を求めて提言を発表する予定だ。
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