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    寄稿〈韓国総選挙で与党が大勝利〉「市民民主主義が機能した」/日韓市民交流を進める希望連帯代表 白石孝さん

     4月に行われた韓国の総選挙結果をどう見るか、韓国の市民運動や政治に詳しい白石孝さん(日韓市民交流を進める希望連帯代表)に寄稿してもらった。

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     韓国の国会は一院制で定数300議席、4年ごとに総選挙が実施される。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は2017年5月に就任し、任期は22年5月まで。そういう意味では、折り返しを過ぎた今回の国会議員選挙は、実績への評価と次期大統領選挙の行方を大きく左右する意味合いがあった。

     もう一つは、与党「共に民主党」の総選挙前の議席が120台で、他の進歩派政党を加えても過半数に届かず、重要法案が成立しない難局の連続だったため、単独あるいは民主プラス進歩派政党で過半数を超えるかどうかが注目されていた。

     総選挙の結果、「共に民主党」は選挙区163プラス比例17で計180議席を獲得し、単独で過半数を大きく超えて圧勝した(表)。

     

    ●透明性と公開性に信頼

     

     日本のマスコミ報道などでは、文政権の新型コロナウイルス対策が功を奏して、有権者の支持を得た結果、とされている。確かにそれも要因の一つだが、私の見方は次のようになる。

     (1)新型コロナウイルス対策も、「透明性、公開性、民主制」が基本理念になっている。これが民主派政権の最も重要な政治スタンスだ。韓国の保守系報道やそれをそのまま垂れ流している日本のマスコミは、政権の経済・労働政策は破綻していると強調するが、3月下旬の韓国世論調査では、「政府のコロナ対策」に77%が「よくやっている」と回答。「経済危機への対応」も62%が「よくやっている」と評価している。全てにベストではないが、その透明性、公開性が政府への信頼につながっている。

     

    ●お粗末な保守野党

     

     (2)保守政党があまりにもお粗末だったこと。選挙前の国会運営では反対のみが先行し、院内論争を深めなかったことや、街頭に右派宗教団体や右派団体を動員して、ネガティブキャンペーンやフェイク言論を繰り返したことに、有権者があきれ返った。いわば野党が自滅したのだ。

     (3)私の最大の評価は、16年10月から17年5月の政権交代へ連なる「キャンドル革命」が、徹底した市民民主主義として底力を発揮したことだ。1919年の三・一独立運動から、48年の済州島四三抗争、60年の李承晩打倒、80年の光州民衆抗争、87年の民主化を経て、金大中政権樹立から文政権誕生という「民主化100年」の大きな力があった。66・2%という高い投票率も新型コロナ渦中での奇跡だが、市民民主主義が機能した結果だ。

     

    ●コロナ対策も高く評価

     

     コロナ対策でも、韓国の成功は世界で高く評価されている。防疫・感染対策だけでなく、雇用継続、失業・求職者、脆弱(ぜいじゃく)階層などへの給付策の水準は高く、新たな雇用創出政策も進められつつある。これについては、私も講師として参加した5月6日開催のオンライン講座をユーチューブで視聴できるので、ぜひご覧いただきたい。(PARC自由学校オンラインオープン講座第2回 https://youtu.be/sN8xGpxVC5g)