核不拡散条約(NPT)再検討会議に併せ、4月に米ニューヨークで開催予定だった「核兵器廃絶」世界大会は、新型コロナウイルスの感染拡大のため中止になった。世界大会を準備してきた企画委員会は4月25日、インターネット上で「オンライン世界大会」を開いた。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、原水爆禁止日本国民会議(原水禁)、原水爆禁止日本協議会(日本原水協)の代表者が呼びかけに名を連ねた。
●NPT発効50年
世界大会の正式名称は「核兵器廃絶、気候危機の阻止と反転、社会的経済的正義のために――世界大会」である。
同日発表された声明は「被爆者の警告を決して忘れてはならない」とし、NPT発効から50年の今年、核軍備撤廃などその誓約を果たそうとアピール。(1)軍備競争の停止と核兵器廃絶を求めたNPT第6条の即時履行(2)核兵器禁止条約の早期発効(3)NPT締約国が合意した中東非核・化学・生物兵器地帯の早期確立――を目指すとともに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)実現のためにも資源を軍事中心から平和へ再配分しようと訴えた。
●連合の取り組み紹介
国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ書記長は、新型コロナ感染拡大によって2億人の雇用が奪われ、それ以上の人々が貧困状態に置かれていると指摘。「未来のために新しい社会的な契約が必要だ。その実現のためにも戦争や核攻撃があってはならない。平和運動と労働運動との歴史的な団結が求められている」と述べた。
連合が取り組む原爆の記憶継承活動や、連合、原水禁、核兵器廃絶・平和建設国民会議(KAKKIN)が共同で進める「核兵器廃絶1000万署名」が4月中旬で830万筆以上集まっていることも紹介した。
●大きな扉開きつつある
日本被団協の田中熙巳代表委員は、ヒバクシャ国際署名が昨年9月末までに累計1051万筆以上寄せられ、国連に提出したことを報告した。署名運動を今秋の国連総会までと定め、「核兵器に固執する国の指導者に、本気で(核兵器を)捨てさせようとするなら、これまで以上の大規模な運動が必要だ」と訴えた。
和田征子事務局次長は、こう発言した。
「2017年の核兵器禁止条約の採択に被爆者は生きていて良かったと心から喜び合った。長年たたき続けてきた大きな扉が開き、一筋の光が入ってきた。この扉をもっと開けるには各国政府の決断と、それを促す市民の行動が必要だ。被爆者も力強く行動する」
●安保の中心に人間を
国連の中満泉軍縮担当上級代表は、核兵器廃絶署名が数多く集まっていることに触れ「核兵器廃絶という重要で困難な仕事に立ち向かうエネルギー源になっている」と署名の取り組みをたたえた。
新型コロナ感染拡大がグローバルな危機を引き起こす一方、多くの人たちが団結する可能性も生み出していると指摘。「安全保障の中心に『人間』を据えるべきだ。固定化した分断を乗り越えて、緊急の目標である核兵器廃絶に向けて取り組まなければならない」と訴えた。
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