小学校の休業により、仕事を休まざるを得なくなった保護者に支給される国の小学校休業等対応助成金・支援金。3月からの全国一斉休校で急きょ創設した制度だ。この書類審査に関わる業務が、大手派遣会社に委託されている。急場の対応とはいえ、労働行政の規制緩和を求める人材ビジネス業界と持ちつ持たれつの関係で大丈夫なのか。
助成金・支援金の申請にはまず、書類を「学校等休業助成金・支援金受付センター」に送らなければならない。同センターはパソナ、パーソル、アデコ、トランスコスモスの4社で、書類の審査業務を請け負っている。給付決定はその後に国の職員が行う。
4社の選定は急を要したため競争入札ではなく、緊急の随意契約による。「経済産業省や総務省で補助金審査業務を行った実績を踏まえての判断」だという。民間委託の理由として、新たに非常勤職員を雇うのが困難だったこと、担当部局が十分対応できる態勢にないことなどを挙げる。
委託費は4月1カ月分での4社の総計が4億5千万円。5月以降分は一斉休校の状況を見て決める。申請件数は4月20日段階で、助成金支援金を合わせて7千件程度にとどまる。当初は10万件程度を見込んでいた。休校が延長されたことで、申請が遅れているのではないかとみられる。
同時に設置されたコールセンター業務は3社が受託し、トランスコスモス社が含まれている。
人材ビジネス業界は、5年前の労働者派遣法「抜本改正」など、規制緩和の推進力となってきた。今年は派遣規制の本格的な見直しも始まる。緊急の対応とはいえ、労働行政が規制対象である業界と持ちつ持たれつの関係になることに、不安を覚える人は少なくないのではないだろうか。
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