生活支援団体などでつくる「いのちとくらしを守る何でも相談会実行委員会」は4月23日、新型コロナウイルスをめぐる電話相談の結果を踏まえ、厚生労働省など政府に緊急要望書を提出した。「今月の家賃が払えない」「生活費が底を突く」という状況が広がっているとして、一刻も早く現金を給付することが必要と強調。併せて「緊急時こそ生活保護を使うべきだ」と提起し、一層の適用要件緩和も求めた。
●休業と補償はセットで
同実行委は4月18と19の両日、全国31カ所で相談会を行い、5009件のSOSに対応した。反貧困ネットワークなど23団体で3月に結成した「新型コロナ災害緊急アクション」の取り組みの一環だ。電話相談では、個人事業主やフリーランス、パート・アルバイトで働く人々から生活費問題を中心に訴えが寄せられた。一律10万円支給の特別定額給付金に関するものが目立ったという。
政府への要望書は「仕事と収入が途絶え、家賃やローンが払えず、生活費も底を突くといった崖っぷちの状況が共通している。外出自粛と休業を要請するなら、安心して休める補償(現金給付)がセットで行われるべきだ」と指摘。その上で「一刻も早く、直接当事者に、自宅や店舗の維持確保と生活を支えるための現金給付を、単発でなく継続的に行うこと」――などを求めた。
要望項目は、住宅ローンなどの支払い猶予や、住居喪失者への空き家・空き室の無償提供、生活保護の適用要件緩和など。
特に、一律10万円支給の特別定額給付金に関しては、現金書留などを含めて直ちに一律支給するよう要求。受給権者は世帯主でなく個々人とすること、住民票所在地に住んでいない家庭内暴力(DV)被害者、長期入院患者、ホームレス生活者、受刑者らにも支給できる体制を構築することが必要と訴えた。
5月の連休中は、生活保護や各種給付・貸付に関する役所の窓口を開けておくことも要望した。
●政府は危機感が欠如
同日開いた会見で宇都宮健児弁護士(反貧困ネットワーク代表)は「新型コロナ対応では、国民に比べ国は危機感が欠如しており、すぐに現金が必要という切迫した国民意識とずれている。国がやるべきは、雇用と営業、住まい、生活、命を守ることだ。そうした政策によってこそ国民は一丸となり、将来に希望を持てる。現状は混乱と不安しか与えていない」と、政府の姿勢を厳しく批判した。
●電話相談の内容
何でも相談会に寄せられた主な内容は次の通り。
〇タクシー運転手だが、歩合給で手取りが月5~6万円に減少。手持ちも10万円程度で、家賃を払うと5月から生活が困難。
〇新型コロナで派遣の仕事がなくなり生活保護の申請に行った。「健康なら仕事を探すように」と言われ、申請できず(福島)。
〇ずっとネットカフェにいたが、追い出されて行き場がない。スマホがなく、新しく設置されたシェルターの場所を調べられない。
〇DVの夫と別居中だが、給付金は夫の元に届いてしまうのではないか。
〇百貨店で販売のアルバイト。4月末で解雇と言われた。4月分の家賃が払えない状況だ。
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