日本商工会議所や全国中小企業団体中央会など中小企業3団体は4月16日、今年度の最賃改定について、新型コロナウイルス感染拡大による経営への影響を理由に、「引き上げの凍結を視野」に行うよう政府に要望した。連合の神津里季生会長は同日の会見で「そういう議論は時期尚早だ」と指摘した。
3団体による要望は、より早期に全国加重平均千円を目指すとの政府方針を見直すよう求めたほか、引き上げを抑えたリーマン・ショック翌年の2009年(引き上げ率1・42%)や東日本大震災発災時(同0・96%)の改定を踏まえ「凍結を視野」に決定するよう求めた。政府の賃上げ政策で最低賃金を用いるべきではないとも述べている。特定最賃廃止の検討も訴えた。
3団体は昨年5月にも最賃改定に関する要望を行っている。3%を上回る引き上げに強く反対を表明するとともに、今年と同様、最賃の大幅引き上げが中小企業の経営を直撃しているとし、政府の賃上げ政策に最賃を用いるべきではないと主張していた。今年は昨年より1カ月以上前倒しで要望した。
地域別最賃の全国加重平均は時給901円。40道県がこれを下回る。17県がいまだに800円にも届いていない。地域間格差は最大223円にも上る。3団体の政策要望では、生活できない水準であることや格差への言及はない。
連合の神津会長は「(引き上げ抑制の議論は)時期尚早だ」と述べた上で「どのように日本を再構築するか根っこから考えないといけない。なぜこんなに(日本の最賃が)低いのかというところから始まった議論。経済危機だからやめようという話にはならない」と戒めた。
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