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    拙速審議で一括法成立/高年法改正案など/付帯決議は23項目にも

     70歳までの就業継続の努力義務を課す高年齢者雇用安定法改正など一括法が3月末、可決成立した。参議院では23項目にも及ぶ付帯決議が付くなど、審議すべき課題を置き去りにしたまま、政府・与党は年度内の成立を急いだ。特に労災多発など安全面で問題のある高齢者の就業で、労働者として保護されない個人請負の働かせ方を容認する内容が押し切られた。

     参院の付帯決議では23項目のうち過半で高年法改正案に注文がついた。60歳以降、仕事は同じなのに賃金が激減する問題の改善や、希望者全員の雇用確保などが必要だとして、現行法の問題点を指摘。70歳までの就業確保措置では、継続雇用や個人請負など働き方の選択は個々の働き手の意思が十分尊重されるべきことや、経験・能力・職務に応じた労働条件とするよう指針に明記することなどを求めた。

     個人請負の働き方については「労働者保護等が確保されない措置」であると指摘して、この措置を選ぶ理由についての書面化や、この働き方を選ぶ際に必要な過半数代表(過半数労組がない場合)の民主的な選出、安全への適切な配慮など7項目について、指針などでの明記を求めている。衆院でも11項目の付帯決議が採択された。

     政府・与党は、六つの改正法を束ねた一括法の中に予算関連法が混じっているとして年度内成立を急いだ。「労働者保護に大きな風穴を開ける」(日本労働弁護団の棗一郎闘争本部長)と懸念された問題は修正もなく素通りした。

     一括法は、複数職場で働く人が労災に遭った場合の労働時間と賃金の通算を行う労災保険法改正や、65歳以降に複数の職場で働く人の雇用保険加入の適用を拡大するなどの雇用保険法改正なども含まれている。