日本労働弁護団は3月30日付で、労働者協働組合法案についての声明を発表した。同法案は議員立法として今国会への提出が検討されている。声明は法案の趣旨には積極的な意義があると評価しつつ、協働組合で働く者が十分な労働者保護を受けられない懸念もあるとして、修正が必要と訴えている。
●労働者性を明確に
労働者協働組合は、組合員が協働組合に出資し、自らも事業に従事するもので、法案は「多様な就労の機会を創出」することなどを掲げ、こうした形態を法人として位置づけ推進することを目指している。
弁護団の声明は、「事業を行う」主体が組合員となっている点に懸念を表明。過去の裁判例を踏まえると、組合員が事業を行っている場合は、労働基準法で保護される「労働者」として扱われない恐れがあると指摘。そのため、組合員の位置づけとして「事業への参加」ではなく、「事業への意見反映」にとどめるべきだと主張している。
加えて、組合員が出資者であることから、事業運営を優先するあまり労働法を順守しない危険性が少なくないと指摘。労働者の権利を尊重することや、労働法順守の理念を明文化することを求めている。
さらに、法案では理事長や理事、監事については、労働契約の締結が不要とされていることも問題視。規定によれば、総組合員数の半数近くまで「役員」を選出できる定めになっている。役職名の付いた組合員が労働者保護を受けられない事態を避けるためには、役員の人数制限が必要だとした。
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平井 勝 (月曜日, 15 6月 2020 19:17)
労働者の権利を曖昧にした法律に反対します。