金属労協は4月2日、3月末段階の回答集計を発表した。回答を引き出した1286組合のベアなど賃金改善の平均は1198円で、前年同期を185円下回る。賃上げ獲得組合の比率は56%と、この時期では2014年以来最も低い。新型コロナウイルスによる生産停止など業績の厳しさを反映し、一時金は最低ラインの年4カ月を割り込む組合が過去最悪に近い205組合に上った。
賃金改善分を規模別に見ると、千人以上が1011円、300~999人が1064円、300人未満が1331円と、2年連続で中小が大手を上回っている。
高倉明議長(自動車総連会長)は、厳しい交渉状況の中で6割近い組合が賃上げを獲得したことに着目し「賃上げの流れを継続できている」との見方を示した。
今後、中小を中心に半数近い組合が回答を引き出す。同議長は「新型コロナウイルス対応を優先し、労使で危機を乗り切るためにも人への投資が有効であることを訴え、追い上げを図りたい」と述べた。
この日は、予定されていた記者会見の形態を変え、インターネットによるテレビ会議方式で中継した。
●厳しい中で健闘
会見では産別の3月末・4月初め段階の集約状況も報告された。
自動車総連は中小が大手を上回っている。同総連のプレスリリースによると、300人未満の中小労組の賃金改善分の平均は1440円。大手の1082円を大きく上回っている。
電機連合は、関連企業の労組を含め昨年を上回る8割の組合が賃金改善を引き出したと報告。「千円以上」の歯止め基準での相場波及が、大手と中堅で9割超、300人未満の中小で7割に上るという。企業内最低賃金協定は303組合が水準改善を引き出し、引き上げ額の平均は1263円。野中孝泰委員長は「昨年より多くの組合が昨年以上の額を引き上げ、社会的責任を果たせた。今後の中堅・中小を支援していく」と語った。
JAMは743組合の平均が1267円で、300人未満は1324円となっている。ただ、全体の賃金改善の獲得率は6割弱と、7割だった昨年と比べ、厳しさは否めない。3月には妥結基準として改善分1400円以上、平均賃上げ5500円以上などを組織確認している。
基幹労連は鉄鋼総合がベアゼロだが、中堅中小では改善分を獲得している。神田健一委員長は、来年4月からの65歳定年延長に関する会社提案(鉄鋼大手3社)の内容を報告。現役世代の賃金原資を使わず、入社から65歳までの一貫した制度とすることや、退職金上積みは困難であることを説明し、今後最終調整を図ると述べた。
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