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    若年層に重点配分の傾向/民放労連3月末回答/一時金は多くがマイナスに

     民放関連労組の3月末段階集計によると、10組合2支部がベアを獲得している。人材確保策として若年層を重視した賃上げが特徴。総額の平均は7789円(2・7%)と昨年並みだが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績の見通しは厳しく、一時金はマイナス傾向だという。

     この日までに64組合7支部が回答を引き出した。ベア回答と合わせ、出足は昨年並みだ。大阪準キー局の読売テレビで22~30歳への千円のベアのほか、TVQ九州放送で500~100円(22~26歳)、テレビ山口で千円(若年層・総合職)、テレビ大分で千円(総合職1~2級)などとなっている。持ち株会社化に伴う再編でグループ内格差が開いたTBSテレビでの2千円のベアも目を引く。

     民放業界では特に地方ほど人材不足感が強く、技術職を中心に都市部の放送局への流出を防ぎたいという意思が働いていると斉田公生書記長は話す。

     一方、一時金は厳しく、「昨年と同じ水準であれば御の字」という。新型コロナウイルスの影響でイベントは軒並み中止、スポーツも開催のめどが立たないなど、業績の見通しは厳しい。今後拍車がかかることも予想され、春闘交渉の早期収束が求められている。

     また、長時間労働是正の取り組みにも影を落としている。「毎朝の検温で微熱がある場合、1週間休ませる措置を取っている。そのため、1人当たりの負担が増えている」。

     

    ●要求すれば響く

     

     一方、放送局構内で働く外部スタッフや非正規社員の処遇改善では例年以上に前進回答を引き出している。

     外部スタッフへのクオカード支給のほか、「有期雇用の登録型派遣社員について、賞与・退職金・通勤費分を時給に加算する」(テレビ新広島)、「契約社員に各種手当を支給」(四国放送)、「派遣社員3人の社員化」(長崎ビジョン)、「契約、パート社員に期末慰労手当一律5万円支給」(南海放送サービス)、「派遣スタッフへの交通費支給」(TVQ)などが報告されている。

     背景には、主に手当や福利厚生で不合理な格差を禁じる「同一労働同一賃金」の法律が4月に施行されたことがある。1月の臨時大会では、正社員の手当削減を進める動きも複数報告されていた。

     斉田書記長は「地方は健闘している。要求すればそれなりの回答が出てくる状況だ」と手応えを語る。