東京電力グループのワットライン社は、電気メーターの交換工事を請け負って働く作業員のうち、労働組合の加入者に割り当てる仕事量を大幅に減らした。組合は「組合員に対する不利益扱いと差別だ」として3月26日、東京都労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。
申し立てたのは、全労連・全国一般労組東京地方本部と、傘下の一般合同労組・計器工事関連分会。
申立書によると、ワット社は親会社の東電パワーグリッド(東電PG)が行う電気メーター取り替え工事を落札して、作業員に仕事を割り振ってきた。東電PGは従来2年間だった契約を突如、今年3月21日からの11カ月契約に変更し、発注する仕事量を減らした。
●75%もの収入減
問題は、ワット社による仕事の割り振り方だ。非組合員には請負金額ベースで従来より3~10%減だったが、組合員には約29~76%もの減額。渡辺清分会長の場合で、前年度実績(11カ月換算)の約890万円が220万円へ75%も減らされた。渡辺分会長は「ガソリン代などの経費もあり、これではとても暮らせない。組合員にだけ過大な減額を押し付けている」と憤る。同程度の減額となった関口友記書記長も「要するに組合に入っている作業員は仕事を辞めろということではないか」と話す。
ワット社の担当部長は、組合活動への参加度に基づいて割り振る仕事量を減らしたことや、組合を嫌った東電PGの意向があったことも明言しており、労働側の鷲見賢一郎弁護士も「組合員差別は明白」という。
計器工事関連分会などはワット社の団交拒否事件でも救済を申し立て、3月4日には全面勝利の救済命令を得たばかりだった。
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