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    個人委託の条項は削除を/雇用共同アクション/高年法改正案の修正求める

     雇用保険等改正一括法案が参議院で審議入りした3月26日、全労連や全労協でつくる雇用共同アクションが国会前で抗議行動を展開した。焦点は、65歳以上の就業を企業の努力義務とする高年齢者雇用安定法改正。保護されない個人委託の働き方が選択肢に含まれている危うさを指摘し、法案の修正を訴えた。

     同法案は、性質の違う六つの法案を抱き合わせにして審議、採決する「束ね法案」。十分な審議が担保されないという問題がある。政府・与党は予算関連法案が含まれるとして、3月中の成立を目指している。

     特に懸念されるのは、65歳以上の高齢者の就業継続で、個人委託の働き方を選択肢に入れていること。その職場の労使合意が必要とはいえ、歯止めとなる保障はない。新型コロナウイルス感染拡大では、フリーランスが収入の保障がない働き方であることが浮き彫りになったばかりだ。

     全労連の岩橋祐治副議長は、処遇が切り下げ放題になり、しかも雇用される保障はないとし「恐るべき法案だ」と語気を強めた。高齢者ほど労災事故に遭う比率が高いのに労災補償が受けられないという矛盾があるとして、反対を訴えた。

     建交労全国事業団・高齢者部会は、年金収入が低く働かざるを得ない高齢者の実情を報告。自治労連はシルバー人材センターの仕事で事故が多く、個人委託のため労災補償がない実態を述べ、法案の危険性を訴えた。

     

    〈写真〉全労協の中岡基明事務局長は高年法改正案を「使用者責任を全てなくす法案」と警告した(3月26日、都内)