2020春闘の初回の回答集計を受けて、連合の神津里季生会長は3月13日、「ここ数年の賃上げの大きな流れを引き継いでいる」と述べた。新型コロナウイルスによる影響は見られないとの見方を示すとともに、後続する中小企業での賃上げに全力を上げる考えを示した。
13日までに回答を引き出した577組合の加重平均は5841円(1・91%)で、前年同期を812円下回る。この時期では7年ぶりに賃上げ率が2%を割った。一方、300人未満の280組合は5255円(2・05%)で、率では全体を上回っている。定期昇給相当分が分かる344組合の賃金改善(ベア)の平均は前年同期比で473円マイナスの1423円(0・44%)。
神津会長は、賃上げの流れが継続したとの認識を示し、「新型コロナ対策について労使で話し合いながら(春闘)交渉を展開してきた。足元の問題が影響したとは見ていない」「どうやって賃上げの流れを中小に展開していくかが必要だ」と述べた。
出身の鉄鋼大手がゼロ回答だったことに触れ「再考を要請しており、交渉の途上だ。日本製鉄では大掛かりな合理化提案があり、緊急避難的対応だった」と説明。トヨタの回答にもあえて言及し、「解せない」と突き放した。近年賃金改善分を公表せず、今年は非正規労働者に処遇改善原資を出したとみられるのに、経営側が「ベアゼロ」と公表したことへの不信感だ。「マイナス心理をまき散らすことはすべきではない」と苦言を呈した。
今後拡大が予測される新型コロナの影響に対しては「大掛かりな財政投入が必要だ。経済の好循環を取り戻すためにも、これまで積み上げてきたものを止めてはならない」と語った。
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