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    副業者への保険適用は慎重に/全労働が見解/雇用保険法などの一括法案

     労働基準監督署やハローワーク(公共職業安定所)などの職員でつくる全労働省労組(全労働)がこのほど、雇用保険法や高年齢者雇用安定法に関わる一括法案の内容について見解を発表した。自己都合による退職者への給付制限を3カ月から短縮することなどは歓迎するとしつつ、複数事業所で働く65歳以上の労働者を一定条件を満たせば雇用保険の対象とする措置には慎重な対応を求めた。

     自己都合で離職した場合、給付制限措置によって3カ月間は失業給付を受けられない。もともと1カ月間で運用されてきたものの、1984年の見直しで3カ月間に変更された。全労働は「3カ月間を短縮することは歓迎するが、なぜ元の1カ月間ではなく2カ月間なのか理解に苦しむ」と指摘している。

     

    ●現場の混乱を懸念

     

     一括法案は、複数事業所で働く65歳以上の労働者については、合算した労働時間が週20時間以上なら、雇用保険の対象にすることを盛り込んだ。全労働は雇用保険適用が本人の申し出を要件としている点を疑問視。「雇用保険制度は強制適用であり、本人の申し出を要件とする点は例外を認めることになる」とし、慎重な対応を求めた。

     加えて、現行の雇用保険制度は1人の労働者が一つの事業主に雇用されることを前提に設計されていると指摘。「複数就業での適用には業務の大きな見直しや行政システムの設計変更が必要になる」とし、十分な準備期間がなく実施すれば混乱は必至だという。

     高年齢者雇用安定法に関しては、有償ボランティアや個人事業主も就業確保の選択肢に含めたことを「労働法の適用を受けない極めて不安定な就業形態への移行を認めるもので認められない」と批判した。