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    格差是正の第2次訴訟へ/郵政ユニオン/中央委員会で意義を強調

     郵政産業労働者ユニオンは2月7、8の両日、都内で中央委員会を開き、大幅賃上げや非正規労働者の処遇改善を柱とする20春闘方針を決めた。有期契約労働者への不合理な格差を禁止する労働契約法20条の裁判で認められた手当を原告以外にも支給するよう求める2次訴訟が始まる。裁判闘争で格差是正に取り組む意義を強調した。

     日巻直映委員長は、かんぽ生命の不正営業問題に触れ「年末年始の繁忙期に3社の社長が辞任を発表する異常事態。(今後)経営失敗の責任を社員に押し付けることは絶対に認められない」と憤った。

     非正規労働者の格差是正の運動を社会全体に広げ、最高裁で労契法20条裁判に勝利しなければならないと強調。高裁判決が認めた手当の支給を求め、154人の組合員による2次訴訟が始まることを報告した。「裁判で認められた格差是正を郵政労働者全体に広げる必要がある。勇気を出して裁判に立ち上がった組合員の決意に総力を挙げて応えていこう」と述べ、結集を訴えた。

     

    ●全国154人が訴訟へ

     

     郵政ユニオンは、労契法20条裁判の高裁判決で認められた手当について、希望する非正規社員に支払うよう、昨年8月、会社に要求書を提出した。会社側が支払う姿勢を見せなかったため、全国七つの地方裁判所に分かれて今月14日に提訴の予定だ(1カ所は18日)。原告は154人で、組合員の約1割を占める。

     弁護団の平井哲史弁護士は「全国的な裁判で職場に波及させる必要がある。労契法20条を使って職場を変える新しい挑戦だ。他の業種にも可能性を広げる大きな闘いになる」と激励した。

     原告の代議員は「JP労組(日本郵政グループ労働組合)の組合員にも声をかけて、裁判費用のカンパに協力してもらった。正規と非正規、組合の枠を超えて闘う雰囲気作りができた。非正規問題の解決への一歩になれば」と裁判の意義を語った。

     西日本の代議員は「訴訟を組織拡大につなげられるかどうかも課題だ。ユニオンとしての組織力が問われる。後には引けず、裁判を含めて重要な春闘になる」と力を込めた。

     

    ●組合差別、生々しく

     

     組合間差別の実態も訴えられた。郵政ユニオンに所属していると、正社員登用や昇進ができないと言って、去る組合員が少なくない。組織拡大は険しい道のりだ。

     ある代議員は「ユニオンを辞めた証明として、JP労組に加入し、正社員になった人もいる」と語った。労契法20条裁判の2次訴訟に立ち上がった組合員について「正社員登用を諦めていない人もいる。差別があることを承知の上で、訴訟に立ち上がった。組合差別があることは職場の誰もが知っている。差別をなくすための闘いも方針に示してほしい」と要望した。

     別の代議員は「会社側は組合差別の発言をしており、支配介入で不当労働行為に当たると思う。(不当な扱いに対し)労働委員会や裁判で闘った組合員もいる。方針化よりも、交渉力を付けることが大事ではないか」と述べた。

     

    〈写真〉ユニオンは裁判で非正規に認められた手当の廃止に対しても不利益変更として争っている(2月7日、都内で)