派遣契約の打ち切りに関する団体交渉を拒むのは、団交応諾義務を定めた労働組合法に違反するとして、大阪府労働委員会は2月3日、朝日放送ホールディングスと、子会社の朝日放送ラジオ(ともに大阪市)の不当労働行為を認定。団体交渉応諾と再発防止の文書手交を命じた。
救済を求めていたのは朝日放送ラジオ・スタッフユニオン(民放労連)。5人の組合員は朝日放送でニュース原稿のリライト作業に携わってきたが、2018年3月、持ち株会社とテレビ、ラジオ両子会社への再編を理由に派遣契約を打ち切られ、失職した。
府労委は、派遣法の趣旨や行政指針に反し、労働者の特定行為(事前面接)など、派遣先が「労働条件などを現実的かつ具体的に支配・決定」している場合は「派遣先が労組法上の使用者に該当する」と指摘。
朝日放送が事前に派遣労働者を特定し、能力を評価して賃金を決めていた事実を示しながら「一定以上の経験や技術を持つ特定の者を直接雇用によらずリライト業務などに引き続き従事させるために労働者派遣制度を利用してきた」とし、労組法上の使用者であると認定した。
持ち株会社となったことについても、命令は、朝日放送が分割されてできたものであり「会社分割前の不当労働行為責任を免じられたとは認められない」とした。
ユニオンは「全面勝利」として、団交の開催を求めていく。村田浩治弁護士は「派遣契約解除のケースでは派遣先の使用者性を否定される傾向があるが、命令は労働者派遣制度の乱用、指針違反を指摘し、使用者性を認定している。この点は普遍性があり、広く活用できる」と述べている。
会社側は中労委に再審査を申し立てるとしている。
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