全労連は1月23~24日、都内で評議員会を開いた。討論では最低賃金引き上げや、全国一律制の必要性についての発言が多く出された。「普通の暮らし」を送るには最低いくら必要なのかを調査する「最低生計費調査」を実施した都道府県組織も、21に広がったという。
●共同や取り組み広がる
最低生計費調査を行った3都府県の地方組織がその効果を語った。
京都総評は、昨年12月に「30代夫婦子ども2人で月48万円必要」との調査結果を発表したところ、ツイッターやネットニュースで話題になり、朝のテレビ情報番組でも取り上げられた。「加盟単産は大幅賃上げ要求に躊躇(ちゅうちょ)があったが、調査を通じて、堂々と賃上げを掲げられるようになったと言っている」と語った。
東京の評議員は「今の最賃額では暮らしていけないことが改めて認識された。情勢は厳しいが生計費原則に基づいた大幅賃上げの要求は当然だ。労働組合として『私たちの暮らしにはこれくらいの賃金が必要』と声を上げていこう」と述べた。佐賀県労連では組合員の2割が調査に協力。同時にカンパも30万円集めたという。
山形では、昨年9月の県議会で自民党県議が最賃の全国一元化に関わる質問をしたところ、県知事が「全国一律でないのは日本を含めて世界で4カ国しかない」と述べ、一律化への強い意思を示したという。
埼労連は、2月の地域総行動成功に向けて連合や中立労組、商工会議所、医師会などを訪問する計画だ。その準備を進める中で最賃署名への協力も広がっていると発言した。
●ジェンダーの問題
評議員の一人(女性)は、自らの経験を語った。「長く非正規で働いていた。時給は千円以上あったが自立は厳しく、離婚を諦めた。最賃が1500円だったら、私の人生はもっと変わっていたかもしれない。最賃の要求は、決して譲れない」
この発言を受けて、長尾ゆり副議長は「非常に大事な発言。誰かに頼らなくても一人で生きていける賃金。自分の人生を自分で選べる賃金。その保障こそが個人の尊厳、そしてジェンダー平等の土台だ。人間らしく暮らせる経済循環に変えようと声を上げる春闘だ」と提起した。
〈写真〉全労連評議員会は「当事者が声を上げなければ、是正も改善もできない。労働組合に入って、いっしょに声を上げよう」との国民春闘アピールを採択した(1月24日、都内)
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