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    月例賃金へのこだわり強調/金属労協の闘争推進集会/人材確保、統一闘争、賃金水準

     金属労協が1月21日、春闘のスタートを前に都内で開いた闘争推進集会では、世界経済の減速で業績が厳しくなる中、月例賃金引き上げへのこだわりが語られた。人手不足の下での人材確保、賃金水準にこだわる取り組み、統一闘争の強みを生かした交渉など、加盟産別のそれぞれの構えが示された。

     

    ●ベア放棄は許されない

     

     基幹労連の津村正男事務局長は、2019年度の大手企業業績の平均が、鉄鋼大手3社で大幅減益見通しであることをはじめ、総合重工、非鉄大手も前年比減益の厳しい状況にあると説明。18闘争で掲げた「2年で3500円、3500円以上」のミニマムの要求を、20闘争では「3千円、3千円以上」(案)に引き下げたと報告した。要求案策定段階では、『取り組まない』との選択肢も検討したと内実を明かし、次のように語った。

     「6年連続で賃金改善を行い、(それまでのベアゼロ春闘から)取り巻く環境が変わった。以前は過年度物価上昇分や経済成長率などの指標を積み上げて(ベア要求の是非を)決めてきた。今回、取り組まない選択肢をあえて議論したが、『それは許されない。賃金改善の期待に応えないという選択肢はない。しっかり要求するべき』との結論に至った。他の業種・業態は皆それぞれ人材確保の競争相手。春闘で賃金改善できないと、マスコミに『できなかった』と書かれ、イメージが悪くなる。産業の魅力をアピールするためにも労働条件の改善が大事だ」

     電機連合は30歳開発・設計職について昨年同様3千円以上のベアを掲げる。12~13の大手メーカー労組が足並みをそろえる、18歳見合いの企業内最低賃金協定は4千円引き上げ(16万7千円)を求める。

     神保政史書記長はこれまでの6年間の累積で1万円の賃金改善(ベア)を行ってきたと述べた上で、「『厳しい』と言われるのは毎年のこと。単年度だけでなく、数年のスパンで見る必要がある。自信をもって要求を確立したい。ややもすると統一闘争を『一律』だと非難されるが、その方法で改善してきたのは強みだ。今年も取り組む」と、スト権を背景にした産別統一闘争推進の決意を述べた。

     

    ●何とかベア平均4桁を

     

     JAMの中井寛哉書記長は「〃中小ファースト〃で賃金改善は6千円」と述べ、この約20年間で最大月額約3万円から5万3千円と広がった企業規模間格差(35歳・所定内賃金)の是正を求める産別方針を説明。「何とかベア平均4桁を確保したい」と、相場形成への期待を表明した。

     大企業が巨額の内部留保を積み上げ、設備投資をためらう一方で、資本金1億円以下の中小企業で人手不足による廃業が増加していると指摘。企業の存立を確保するためにも、入職時の初任給の底上げだけでなく、30歳、40歳ポイントで、平均的な技能を持つ従業員の適正な賃金水準を労使で確立し「未来予想図をしっかり示していくことが大事だ」と語った。

     自動車総連は統一の要求額を示さない2年目の春闘となる。金子晃浩事務局長は新たな取り組み方への評価を下すのは拙速としつつ、昨年は大手の3千円を超える賃金改善要求を行った組合が約6割に上ったこと、自社の賃金制度について検討を開始した組合が少数だが表れ始めたことを紹介し、手応えを語った。

     20闘争への構えとして、日本経済の自律的成長のためには収入を増やし消費を増やすことが欠かせないと述べ、生み出した付加価値に見合う配分と、底上げ・格差是正を求め、「自動車は自動車の考え方に沿ってしっかり成果を出していければと思う」と述べた。