海運会のOBや船員のOBでつくる「海運九条の会」が、中東海域への自衛隊派遣について「断固抗議し、中止を求める」と訴えている。政府が派遣の第1陣となる哨戒機2機を出動させた1月11日に声明を発表した。
●危険地域からの離脱を
声明は、政府が「日本関係船舶の航行安全確保のための調査・研究」を自衛隊派遣の理由に掲げていることについて「安全確保どころか、百害あって一利なし。かえって民間船舶の航行安全を阻害する危険な決定であり、憲法に反する愚策だ」と批判した。
米国とイランの軍事衝突は当面回避されたものの、火種は残っていると指摘。もしも紛争に発展する事態になれば「民間人の生命・安全の確保のための最も現実的な選択は、紛争地域からの速やかな離脱だ」と述べている。
この点は、海運会社に乗務する船員の場合も同様であり、自衛隊に守ってもらうのではなく、危険な海域からの離脱が必要という。交通運輸関係の国際労働団体である国際運輸労連(ITF)が、海運経営者団体との交渉で「危険な紛争海域への就航を拒否し下船する権利」を勝ち取っていることを紹介した上でこう訴えている。
「日本関係船舶が、いささかでも攻撃の対象になる可能性が生じれば、船員も人の子。これら海域に入る前に安全な港で船を降り、わが家に帰るという当たり前の権利があることを理解しなければならない」
コメントをお書きください