スクランブル交差点に最賃1500円を求める市民団体・エキタス(AEQUITAS)のサウンドデモが差しかかると、沿道にいた若者たちがリズムに合わせて手を振り、「給料上げろ」と声を上げた――。昨年12月22日、東京・JR渋谷駅前の光景だ。
軽トラックの荷台にDJブースを乗せ、軽快な音楽とともに「生活苦しいやつ、声上げろ」「最低賃金1500円上げろ」とコールするデモのスタイルは、若者らに好評だ。
アルバイト先に向かう途中だという男性(19)は、「(デモの)やり方がユニーク。周りを不快にさせないところが良い。思っていることを、声に出すって大事っすよね」と、動画を撮りながら興奮気味に話した。
●最賃が沿道の話題に
デモを見ている人たちの中では、「最低賃金ってなに?」「東京は家賃が高すぎる」と話す男性のグループや、2人で「給料が上がっても(扶養控除がなくなる)103万円の壁があるからね」「(1500円も)会社は払えないよ」など、批判的な意見も含めて知人と話し始める姿も複数見られた。
●消費の活性化が必要
料理を配達するウーバーイーツで働く20代男性は「僕には関係なさそうだけど、地方の時給は上げた方が良い。田舎は本当に過疎化している」と話した。
雨の中、居酒屋の宣伝をしていた中国出身の女性(25)は「昨年10月からアルバイトの時給が上がってうれしい。時給が1500円になったら? 生活が苦しいので、すごく助かる」と笑顔になった。
友人の結婚式の帰りだという30代男性は栃木県で牧場を経営している。「1500円くらいなら上げてもいいと思う。経済を底上げしないと消費が活性化しないし、日本の発展にもつながらない。全国一律? 良いと思うよ」と語った。
●企業倫理にも言及
デモに参加した40代男性は「賃金の底上げをしないといけない。会社に『(賃上げ)やりましょう』と言わせたい。内部留保がたくさんあるのだから、賃上げしないと企業倫理が問われるくらいの社会状況をつくりたい。昭和から(平成を経て)令和になったのだから、考え方をアップデートして、低賃金で働かせる横暴なやり方はもうやめないと」と話した。
〈写真〉デモでは「最低賃金を1500円に これは新しい『常識』です」というリーフレットも配った(2019年12月22日、都内)
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