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    最低でも1500円以上必要/東京地評が最低生計費調査/首都単独での初調査結果

     東京都でふつうに暮らすには少なくとも時給1500円以上は必要――そんな試算結果を12月18日、東京地評が示した。生活パターンと持ち物を調べる調査を行い、その上で必要な費用を積み上げていく「理論生計費」を算出する試みだ。首都・東京単独での初の調査となる。

     調査は5月に開始し、3238人が調査票に答えた。そのうち10~30代の単身者411人分について試算結果を示した。

     家賃が比較的安い「節約型」の北区と、「住みやすさ」を重視した世田谷区、アクセスの良い新宿区の三つのモデルを設定した。月労働時間を150時間で換算し、北区は男性が1664円で女性が1642円、世田谷区、新宿区ではそれぞれ男女ともに1700円を超えた。

     監修した中澤秀一静岡県立大学准教授は「東京の最賃1013円では普通の暮らしはできない。少なくとも時給1500円以上は必要となる」と語った。

     

    ●健康で文化的な生活を

     

     この取り組みは、生命を維持するだけの生計費算出が目的ではない。人付き合いができ、ささやかながらも余暇を楽しめる、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」に必要な費用を示す試みだ。

     特徴の一つは、所有率7割を超える物を必需品とする考え方。7割に届かなくても当事者による討議を行い判断する。例えば電気アイロンについて「仕事の身だしなみに必要」「クリーニング代の節約になる」などの意見が出され必需品と判断されれば、量販店の最安値1195円を法定耐用年数で割った月額17円を費用に数える。

     二つ目が消費量を下位3割を基準とすること。例えばスーツの本数にしても個人差があるため、平均値ではなく、国際的な基準である、平均値の半分を超える水準として設定している。

     その上で、理・美容、結婚式出席などの交際費、こづかいなども考慮しながら、住居費については想定地域の最低価格帯とし、1日の必要摂取カロリーに応じた食費を一つ一つ積算している。

     国が検証可能な最低生計費を示さない中、自分たちの手で生計費を算出しようと、これまで全労連傘下の地方組織を中心に17の地域で生計費試算が行われてきた。今後も佐賀や茨城などさらに広がる。この資料を最賃の大幅引き上げ、全国一律制実現を進める上での根拠として活用していく。 

     

    〈写真〉東京地評の最低生計費試算調査。自由記述欄には「最賃が上がったら貯金したい」との声が多数寄せられている(12月18日、都内)