自転車やバイクで料理を運ぶ事業を展開しているウーバーイーツ。その配達員でつくる労働組合(ウーバーイーツユニオン)が12月5日、同社に対する抗議声明を発表した。一方的な報酬引き下げと団体交渉の拒否を批判する内容だ。同日の会見で前葉富雄委員長は「報酬を下げるというなら、納得できる理由を団体交渉で説明すべきだ」と訴えている。会見には連合の神津里季生会長も同席し、協力を約束した。
●納得できる説明を
同ユニオンの抗議声明によると、ウーバージャパンは11月29日、配達員の基本報酬を引き下げた。荷物の受取料金を300円から265円へ、受け渡し料金を170円から125円へカット。トータルで2割前後の減収になるという。11月20日にメールで通知されただけで、ユニオンは「なぜ引き下げる必要があるのかなど合理的な説明はされていない」と憤る。
ユニオンは10月3日の結成後、事故の際の補償や報酬体系の改善などについて団体交渉の開催を要求してきた。今回の報酬引き下げに関しても団交での説明を求めている。
しかし、ウーバージャパンは(1)配達員はオランダのウーバーポルティエBVとの契約となっている(2)配達員は「労働組合法上の雇用労働者」に該当しない――との理由で団交を拒否している。
会見で川上資人弁護士は「労組法には雇用労働者との記述はない。判例上は、事業組織への組み入れや契約内容の一方的・定型的決定、報酬の労務対価性で判断することになっており、配達員は明らかに労組法上の労働者だ。団交拒否は不当労働行為に当たり、早急に団交に応じるべき」と話した。年明けには労働委員会に救済を申し立てる予定だという。
●胸張って仕事したい
連合の神津会長は「一方的な報酬引き下げはひどい話。どう考えても彼らは労働者であり、団交拒否はありえない。ビジネスモデルとしていかがなものか。経営者は現場で働く者の声や知恵を聞くべきだ。連合としても、しっかり協力していきたい」と述べた。
10月末には、ウーバーポルティエジャパン合同会社も設立されており、当面はウーバージャパンと併せ、2社が相手となる。
前葉委員長は「ウーバーイーツの事業は新しい働き方であり、私たちは胸を張って仕事をしていきたい。いい面も悪い面もあるが、働き方を良くしていくために知恵を出したい」と話している。
〈写真〉会見では一方的な報酬引き下げを厳しく批判した(12月5日、都内)
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