自治労連と地方自治問題研究機構は12月7日、都内でシンポジウムを開催した。テーマは「『自治体戦略2040構想』と地方自治」で、同構想による自治体改革の問題点について話し合った。シンポは、両組織の20周年記念企画でもある。
同構想は総務省の有識者研究会が提起し、現在は地方制度調査会で具体化に向けた審議が行われている。人口減少や財政悪化を前提に、立ち行かなくなる自治体に対して、前倒しでさまざまな改革を求めるという内容。小規模自治体は全ての行政サービスを担わず、一定規模以上の自治体との連携による「圏域」行政を提起。人工知能(AI)の活用で職員を半減することや、民営化などの促進を目指している。社会保障をはじめとする行政サービスについては「自助」での対応を前面に打ち出しているのが特徴だ。
研究機構運営委員の白藤博行専修大学教授は、2040構想について「国や公益などの『大』のためには、小規模自治体の『小』をつぶしてもいいという発想だ」と指摘。
平岡和久立命館大学教授(地方財政)は「自治体の財政悪化が前提とされているが、それをもたらしたのは小泉政権による緊縮政策だった。地方交付税に関わる財政改革であり、デフレの長期化や格差の拡大を進めた。もはや限界に来ており、転換しなければならない」と訴えた。
北海道訓子府(くんねっぷ)町の菊池一春町長は「日本国憲法の下で『自助』を優先するなんてあり得ないし、小さな自治体が集まっても豊かになれるのかどうか」と批判。その上で地方自治のあり方が問われていると述べ、規模の拡大ではなく、各自治体で住民自身が知恵を出して困難を乗り越えていく仕組みづくりが必要と強調。同町で実現した「まちづくり町民参加条例」や、住民本位の行政施策について語った。
〈写真〉シンポでは、国からの自治体改革押し付けを批判する意見が相次いだ(12月7日、都内)
コメントをお書きください