自民党の最低賃金一元化推進議員連盟は12月3日、半年ぶりに会合を開き、海外の中小企業支援策についてヒアリングを行った。議連の衛藤征士郎会長は「経済の底上げを図るには最賃を引き上げるしかない。躊躇(ちゅうちょ)することなく断行させたい」と改めて決意を語った。
韓国では文在寅大統領が就任した2017年以降、最賃引き上げは29%にも及ぶ。労働政策研究・研修機構の呉学殊主任研究員は、財閥や富裕層を潤す従来のトリクルダウン(富が滴り落ちるの意)政策ではなく、庶民の生活向上で内需を高める「所得主導成長」政策であると指摘。年間3兆ウォン(約3千億円)近い小零細企業支援策、監督官増員などの関連政策を説明した。大幅引き上げが雇用に悪影響をもたらしているとの言説については「皆が納得できる調査結果はまだない」と早計を戒めた。
元新潟県知事の泉田裕彦衆議院議員が、韓国が全国一律である理由や、日本で全国一律にした際の中小企業支援の予算推計について質問。呉氏は、軍事独裁政権時に生じた地域間の格差・対立を解消する政策が進められてきており、これに反する地域別最賃はあり得ないと解説した。日本の最賃については「韓国より低い地域が多くある。ここをどうするか、考える時ではないか」と提言した。
予算規模推計について、国の担当者からの明快な説明はなかった。
●国の対応に不満
国の担当者からは、最賃引き上げに伴う海外の中小企業支援策について報告があった。前回からの〃宿題〃だが、説明資料はA4の紙1枚だけ。ほとんど議論にならず、衛藤会長は終了後「不勉強にも程がある」と国の対応への不満を記者に述べていた。
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