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    「内部留保の滞留」を問題視/連合中央委で神津会長/2020春季闘争方針を決定

     連合は12月3日、千葉県内で中央委員会を開き、2020春季生活闘争方針を決定した。定期昇給分を含めて4%を底上げ要求に設定。格差是正に向けて「分配構造の転換につながり得る賃上げ」を目指す。神津里季生会長は「(企業の)内部留保の積み上がり」にも言及し、この点を闘争の中でクローズアップしていくことが必要と訴えた。

     神津会長は、世界経済の成長率低下に加えて、米中の貿易問題が日本経済にも影響し始めていると指摘。勤労者世帯の消費行動にも慎重な動きが見られるとした上で「だからこそ、賃上げの流れを決して止めてはならない。組織の内外に賃上げのうねりを広げ、社会全体のものとしていくことが重要だ」と強調した。

     付加価値の適正な分配に取り組む決意を表明しつつ、こう述べた。

     「各方面から経済界に対して内部留保の積み上がりが指摘されている。(設備投資や賃上げの)原資が一部に滞留していることが経済の好循環の妨げになっているのではないか」

     さらに、賃金の絶対額にこだわること、労働組合による集団的労使関係を確立・拡大すること、「1000万連合」実現の取り組みを加速することなどを訴えた。

     

    ●働き方ルールで要望

     

     討論では3組織が発言。

     JAMは格差是正を進める上で労働者の賃金水準を把握する必要があると述べて、連合に対し「構成組織700万人の賃金データを集め、開示してほしい」と要望した。併せて、中小企業にも働き方改革関連法による労働時間の「上限規制」が来年4月に施行されることを踏まえ、適正な36協定の締結を目指す「アクション36」のキャンペーン継続を求めた。

     JR連合は、分配構造の転換を目指す連合方針を歓迎するとし、「社会にはさまざまな分配構造のゆがみがあり、その是正に取り組む」と決意表明した。

     全国ユニオンは、来年4月施行の派遣労働者などの「同一労働同一賃金」ルールについて、「派遣先企業(労働者)との均等均衡処遇を原則とするようアピールを」と要望した。ハラスメント防止の改正法と指針案に関しても「労働組合として法律を上回る協定・協約を目指して、次期法改正につなげていくことが必要」と訴えた。

     連合本部は、賃金データについて「当面は、公的データである厚生労働省の賃金センサス(賃金構造基本統計調査)を使っていくが、組織内の個人別賃金データの把握割合を高めていきたい」と答弁。

     「アクション36」については12月執行委員会であらためて方針を提起すると述べ、ハラスメント指針に関しては、1月の執行委員会で連合としての対応方針を出す予定だとした。

     

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    コメント: 1
    • #1

      ねこ (水曜日, 11 12月 2019 03:43)

      内部留保はG7で日本だけ異常に積み上げていて、反比例するようにこの20年で日本だけ実質賃金は下がっている。内部留保は基本的に死蔵されているだけで活かされない。
      家計から企業への所得移転だったといえるわけでこれでは消費低迷するし日本人が貧しくなるばかり。

      こんな状況にしてしまったのは結果として看過してしまった労働組合にも責任があるのではないか。
      ストという手段を放棄しているから交渉力が低下している。
      フィンランドはストがきっかけで最年少首相誕生してるし、株主資本主義帝国のアメリカですらGMやアマゾンでストが行われてる。一方日本では佐野サービスエリアでストすれば解雇されるという発展途上国ぶり。
      ともかくこれ以上の無意味な内部留保貯め込みは許されない。日本が衰退していくだけ。
      連合は奮闘してほしい。