自治体の会計年度任用職員制度づくりがヤマ場を迎えている。NPO官製ワーキングプア研究会や労働組合でつくる実行委員会は11月24日、都内で「なくそう!官製ワーキングプア集会」を開き、制度設計をめぐる労使交渉の現状などについて交流した。5年などの「雇用年限」の提案を撤回させた取り組みが報告された。
●板橋や文京は撤回
会計年度任用職員制度は、地方公務員法と地方自治法の改正を受け、来年4月にスタートする。自治体で働く非正規職員の大半を移行させることになっており、条例や規則づくりが進められている。新たなパート職員に一時金(期末手当)の支給を可能にする一方で、雇用期間を「上限1年」(再度任用は可能)と定めたことをはじめ、懸念される点も少なくない。
集会では、東京公務公共一般労組(自治労連)が雇用年限の撤廃に向けた取り組みを報告した。都内の自治体では「5年の雇用年限」が提案されたが、江東区では現職の非常勤職員について導入しないこととなった。これを突破口に板橋と文京、世田谷区では導入を阻止したという。
板橋区のパート職員は「これまで雇用年限なんてなかったのに、提案されてみんな怒った。区議会全会派の議員に要請し団体交渉を重ねる中で、議員から疑問が出され、区長も再検討を約束。10月になって撤回させることができた」と述べた。
日野市職(自治労)によれば、市当局は「5年年限を入れない」と言明。加えて、学童クラブの非正規職員約100人について、1日の労働時間を45分延長しフルタイムを維持したままでの移行を提案したという。賃下げと昇給停止の提案に対しては、5年間は実施させない確認を取ったと報告した。
ユニオン習志野は、市当局から「雇用に上限を設けない」との回答を受けたものの、現在フルタイムで働いている保育士などの臨時職員について、パート化と賃下げが提案されていることを紹介。まだ決着していないと述べた。
●賃下げ提案も
集会では、一時金を出す代わりに月例給を引き下げて年収を維持する提案についても論議した。「年収維持でも、日々の暮らしを考えると月例給が大事。賃下げは不利益変更だ」などの声が上がった。
参加者からは、公務でも無期雇用への転換や、雇用年限のない短時間正職員制度の導入などを目指そうとの訴えもあった。
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