地方自治体では今、賃金確定闘争が取り組まれています。非正規職員を含め、賃金・一時金などの処遇改善をどう図るかが主な課題。今年は特に、高卒初任給の思い切った引き上げが求められています。最低賃金が千円を超えた東京や神奈川で高卒初任給の最賃割れが起き始め、放置できなくなっているためです。
東京都の人事委員会は10月の勧告で賃上げを見送りました。高卒初任給は月額14万5600円。これに地域手当を加えた額が東京都の最賃(1013円)を割り込む自治体が出てきたのです。
檜原村は7・5%の地域手当を加えた賃金の時給換算額が1001円、同じく8%の日の出町と奥多摩町は1006円で、最賃を下回ります。確定闘争で初任給が上がらないと、民間なら違法状態に置かれることになります。
都内には、この3自治体以外にも地域手当10%の自治体が、武蔵村山市など4市町あります。時給換算額は1025円で、最賃をぎりぎりクリアしているものの、このままでは危うくなるのは確実です。
神奈川県では、今年4月時点で7自治体が最賃(983円)を下回っていました。箱根町の高卒初任給は時給換算額で942円。その後、10月に最賃が1011円にアップしたため、乖離(かいり)はさらに拡大。確定闘争で最賃割れから脱却できるかどうかが焦点です。近年、最賃の引き上げ傾向が続いており、他の自治体も人ごとではありません。
国は人事院勧告を受けた給与法改正で初任給を月額2千円引き上げました。しかし、この程度では焼け石に水。人手不足時代に人材を確保するには、思い切った賃上げが必要です。自治の独自性を発揮した英断が求められています。
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