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    連合神奈川が支援呼びかけ/トーカロの20条裁判/最大のヤマ場、証人尋問へ

     金属加工のトーカロ(東証1部)を相手取り、正社員との賃金、手当、一時金の格差は不合理だとして差額の支払いを求めている裁判がヤマ場を迎えている。11月25日に東京地裁で行われる証人尋問には、連合神奈川の個人加盟ユニオンが傍聴行動への参加を呼びかけている。

     原告の女性は1996年に嘱託社員として入社し、1年有期の契約を更新してきた。横浜市内の営業所で事務職に就き、02年には片道2時間かかる千葉県船橋市内の工場に配転され、製造事務にも従事してきた。

     18年2月、不合理な格差を禁じる労働契約法20条違反を訴え東京地裁に提訴。職務、責任の程度、配置の変更の範囲は正社員と同じだとして、基本給、地域手当、一時金の差額約480万円の支払いを求めた。

     25日の証人尋問では、原告と提訴時の人事担当者、比較対象となる一般職正社員2人が出廷する。結果的に原告・被告の双方が申請する形となったが、原告側が請求する会社側証人が採用されることは20条裁判では珍しいという。

     この裁判の特徴は、原告が20年以上もの長期間働いていること。20条裁判では初めてだといわれ、裁判所の判断が注目される。さらに原告側代理人によると、争点の一つである地域手当を同社は裁判中に廃止。原告の主張との関連が指摘される。

     女性は01年、雇い止めをめぐる相談を通じ、連合ユニオン神奈川に加入。裁判では提訴から全面支援を受けている。トーカロにある正社員組合は支援を行っていないが、上部団体のJAM本部が必要に応じて同ユニオンに助言している。

     25日の証人尋問で、裁判は最大のヤマ場を迎える。同ユニオンは傍聴席を埋め尽くし、裁判勝利を勝ち取ろうと呼びかけている。