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    不誠実団交の是正求める/全医労が救済申し立て/院内保育所受託の「キッズ」

     国立病院機構の労組、全医労は11月11日、院内保育所12園の経営を受託しているキッズコーポレーション(キッズ、宇都宮市)による不誠実な団体交渉を不当労働行為だとして、東京都労働委員会に救済を申し立てたことを明らかにした(申し立ては11月1日)。交渉権限のある担当者が出席せず、賃上げ交渉に必要な資料も提示しないなど、真摯(しんし)に話し合おうとしない姿勢の改善を求めている。

     国立病院機構は2004年、院内保育所を保育事業などを運営するピジョンに一括委託したが、17年に同社が撤退を表明。その後、全国の110園について、株式会社や社会福祉法人、NPO法人など計38の業者が委託運営を行っている。キッズもその一つ。

     

    ●黒字か赤字かも不明?

     

     全医労が18年3月に団体交渉を申し入れたところ、キッズ側は日時を引き伸ばしてなかなか応じようとしなかったという。それでも団交で「以前の労働条件の維持」を確認。ところが、後になって「文言を変更してほしい」「(確認書を交わした)交渉は無効」などという姿勢に終始した。

     19年の賃金交渉についても、交渉権限のある担当者が出席せず、必要な経営資料も提示しない不誠実な交渉が続いた。全医労によれば、交渉担当者は「資料は出さない。賃上げはしない」と繰り返すだけ。経営状態を尋ねても、黒字か赤字かも答えられないありさまだったという。

     全医労は「これではとても交渉にならない」と判断。香月直之委員長は「このままでは組合員の生活と権利を守れないだけでなく、長年守り続けてきた保育の質も崩壊しかねないという危機感から今回、救済申し立てを決断せざるを得なかった」と語っている。