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    平日の長時間労働に懸念/給特法改正案の参考人質疑/過労死遺族らが反対表明

     公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を条例で導入可能にする改正法案の参考人質疑が11月12日、衆議院文部科学委員会で行われた。過労死遺族や労働弁護団の弁護士は長時間労働を助長するとして反対を表明。岐阜市の教育委員長は休日まとめ取りが教職の魅力になるという理由で賛成と述べた。

     

    ●過労死を合法的に促進

     

     「教職員定数の改善と業務削減が充実していれば夫は死ななかった」

     全国過労死家族の会の工藤祥子さんはこう語った。工藤さんは中学校教員だった夫、義男さんをくも膜下出血で亡くした。異動先の学校で地域活動などの業務が集中し、長時間過重労働に陥り、夏休みを前に倒れた。

     「教員の過労死は新学期後の5、6月に多く、夏休みまで心身共に持たない。(変形労働制は授業期間中の)所定労働時間が延び、合法的に過労死を促進する。休日まとめ取りで本当に疲労を回復できるのか」と懐疑的な見方を示した。

     部活動や授業準備などの残業を自発的活動とみなす「給特法」が適用されているため、労働時間の記録はなく、公務災害の申請でも遺族が調べた時間と認定時間に大きな乖離(かいり)があった。

     「(記録がないため)多くの人が公務災害の申請すらできず、単なる病死で済まされてしまい、過労死の統計に表れない。在職死亡や精神疾患の原因や実態の把握なしに改善はない。正規雇用の教職員数を増やし、業務削減、1人当たりの授業数を減らすことが必要だ」と述べ、短期間での法案成立に反対すると表明した。

     

    ●導入は労基法歪める

     

     日本労働弁護団常任幹事の嶋﨑量弁護士は、「給特法」が長時間労働をまん延させている元凶であり、抜本的改正から目を背けていると批判した。

     変形労働制について「長時間労働を解消するために導入するというが、合理性がない。(導入すれば)休日まとめ取りができるというのは間違いだ。(職務免除日など)休日まとめ取りの条例制定を促す法律を作ればいい。休日まとめ取りを強調する政府はあまりにも無責任だ」と憤った。

     1年変形制の導入には労使協定の届け出が必要であり、長時間労働が常態化した職場には導入できないことから、法案は前提を欠いていると指摘した。「法案は厳格な導入要件をゆがめる可能性が高く、危険だ。(所定労働時間を延ばすことで)残業時間を見かけ上減らすことでしかない。問題は職場環境の劣悪さだ。現状を固定し、(長時間労働から)目をそらし、労働基準法をゆがめる変形労働制の導入には反対する」と述べた。

     

    ●賛成派も教員増要求

     

     早川三根夫岐阜市教育委員長は、昨年から実践している夏の学校閉庁について報告した。閉庁期間に有給休暇の取得が促進されたという。

     「お盆の期間を中心に連続16日間、学校を閉庁した。教員の2人に1人が旅行に出かけている。若い人も9割が支持している」と述べ、長い夏休みが教職員の魅力になると力説。(まとめて休める)変形労働制の導入を支持した。

     学校閉庁が授業期間中の業務量に影響したかどうかについては「調査していない」と述べた。

     一方、給特法について尋ねられると、現状にそぐわず、抜本的な見直しが必要だと答えた。「一番は教職員定数の改善だ。せめて1人当たりの授業数を高校並みにしたい。(急病などの)休みが生じた時に埋められる人員がいると助かる。〃学級担任手当〃などを創設すれば教員も元気になるのでは」と述べた。