福岡高裁は11月11日、九州建設アスベスト訴訟(第1陣・原告54人)の判決を言い渡した。国と建材メーカーの責任を認め、「一人親方」も救済する内容。東京の支援者や上京した原告らは当日、厚生労働省前で集会を開き、勝利判決を喜び合った。
提訴から8年余り。被害者28人のうち、23人が亡くなっており、「命あるうちに救済を」の願いは切実となっている。
●一人親方も救済
判決は、国に対して総額約2億2082万円、建材メーカー4社に対して総額約1億2636万円の支払いを命じた。
建設作業従事者の遺族らが起こした一連の集団訴訟で、国の責任を認めたのは、これで連続11回目。一審の福岡地裁判決では認められなかった、「一人親方」に対する国の責任も認定した。
国が警告表示を怠った規制権限不行使の時期については、終期を2004年とし、一審の判断より約9年伸ばした。原告団などは「救済の範囲を拡大したものとして高く評価できる」との声明を発表した。
●建材メーカーにも責任
判決は、アスベストが重篤な疾患を引き起こす危険なものだと知りながら、アスベスト建材を製造・販売してきた企業として、A&Aマテリアル、ケイミュー、ニチアス、ノザワの4社に損害賠償を命じた。同声明は「アスベスト建材の製造・販売を継続した違法は、すべての建材メーカーに共通しており、責任が認められていない建材メーカーが無責であったと考えるべきではない」と指摘する。
●この歓声、聞かせたい
同日午後3時過ぎ、厚労省前では「一人親方も勝訴」「建材メーカーも加害者」などの垂れ幕が出されると、歓喜の声が上がった。九州から上京した原告3人は「涙が出る。(被害者の)夫の墓前に報告したい」「夫にもこの歓声を聞かせたかった」と声を詰まらせながら話した。
被害者遺族で原告の石原律子さんは「私の夫は(多くの建設作業従事者と)同じ現場で働きながら一人親方だというだけで差別され、地裁で負けてしまった。でも(提訴からの)この8年間は無駄じゃなかった。皆さん、勝ちました!」と語った。
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