安倍政権が中東に海上自衛隊の派遣を検討していることについて、稲正樹元・国際基督教大学教授や永山茂樹・東海大学教授ら憲法研究者が11月1日、声明を発表した。「『調査・研究』での派遣には法的根拠がなく、紛争に巻き込まれる危険があり認められない」と批判した。憲法研究者125人が賛同している。
●「渡りに船」で選択
政府は今回の自衛隊派遣を防衛省設置法に基づく「調査・研究」と説明するが、声明は「自衛隊の海外派遣を日常化させたい日本政府が、アメリカの有志連合への参加呼びかけを『渡りに船』で選択したもの」と指摘した。
声明は今回の自衛隊派遣について、安保法制の下で集団的自衛権の行使につながる恐れがあるとし「憲法9条の平和主義に反し、自衛隊員の生命・身体を徒(いたずら)に危険にさらすことを意味する」という。
その上で、日本政府は憲法の定める国際協調主義に沿って、中立外交の立場で仲介役に徹するべきだと訴えている。
●「調査・研究」に根拠なし
清水雅彦日本体育大学教授は「本来、派遣できるはずがない『調査・研究』という名目で推し進めようとすることが、まず問題だ」と述べ、いったん派遣すれば、違憲の安保法制が発動し、集団的自衛権の行使が可能になってしまうことに懸念を表明した。
〈写真〉稲教授(左端)は「日本が(米国とイランの)板挟みになっていると報道されているが、そうではない。自衛隊派遣を日常化させることが狙いだ」と発言した(11月1日、国会内)
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