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    「教員は労働者ではないのか」/教員らが署名提出/1年変形制の導入に反対

     公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制の導入を可能とする法案(給特法改定案)の撤回を求める署名約3万3千筆が10月28日、文部科学省に提出された。提出したのは、岐阜県の高校教員の西村祐二さんと、中学校教員の夫を長時間労働で亡くした工藤祥子さん。ネット署名サイト「Change.org」で9月16日から呼びかけてきた。

     

    ●公教育崩壊の分岐点

     

     「1日8時間労働を今一度目指すのが働き方改革のはずだ。教員は労働者ではないのか」

     提出後の会見で西村さんは思いの丈を語った。授業準備などの残業を自主的活動とみなす「給特法」や部活動顧問の強要など、教員の長時間労働問題について西村さんは2016年からツイッターで発信してきた。

     西村さんは、残業時間の抑制に有効な方策がないままでの変形労働制導入に危機感を示し「こうした働き方を強いられれば、死んでしまう。教育界を目指す若者はいなくなり、教員として公教育の質を保障できない」と述べ、公教育が崩壊しかねないと訴えた。

     法案が、労使協定の締結を不要とし、自治体の条例で導入可能としていることも批判。その上で「現場の教員は導入を全く望んでいない。(所定労働時間を弾力化することで)見た目の残業時間を減らすというのが目的なのか」と語気を強めた。

     工藤さんは「(導入されたら)教育委員会や人事委員会はどのような責任を負い、文科省はどこまで関与するのか。教員は今も介護や育児の時間が取れない。非常に不安だ」と述べ、法案の撤回を強く求めた。

     

    ●変形労働は規制緩和

     

     会見に同席した日本労働弁護団常任幹事の嶋崎量弁護士は、1年単位の変形労働時間制が1日8時間労働の規制を緩和する制度であり、残業代不払いをごまかすために使われていると指摘。本来は導入に必要な労使協定締結の要件が一切無視されているのは危険だと強調した。

     「そもそも教員は労働者意識が非常に低く、子どものために長時間労働を受け入れてきた。その実態にようやくメスが入りつつあるのに、導入は(この流れを)逆行させかねず、必要性もない」と断じた。