日本医労連は10月21日、「2018年度院内保育所実態調査結果」を発表した。保育所の運営を企業に委ねる病院が増えており、18年度は企業への委託(46・8%)が病院直営(36・7%)を上回った。医労連は「処遇の悪さの最も大きな要因の一つが委託化だ」と指摘。処遇改善を進めるためにも病院による直営原則を貫くよう求めている。
調査は毎年行われており、今回は加盟組合がある病院内の施設を中心に3月に実施。40都道府県139施設から回答を得た。
院内保育所は、勤務が不規則な看護師らが子育てをしながら働き続ける上で不可欠とされ、全国に449カ所あるという。
調査結果によると、院内保育所の設置主体では「病院」が約83・5%あるものの、病院が「運営」の主体との回答は36・7%しかない。企業への運営委託が増えているためで、企業委託は12年度の11・1%から18年度の46・8%へ急増している。
●責任重く、給与は軽い
その要因について医労連は「病院からすれば、運営に伴う煩雑な業務からの解放と、経済的負担を減らせるという〃メリット〃があるからだろう。しかし、保育労働者の賃金や処遇は当然低下する」と指摘する。
同日の記者会見では、株式会社に運営が委託された宇都宮市の院内保育所で働く保育士の木村桂子さん(50)が処遇の低さについて訴えた。「基本給は一律月12万5千円で、基準の不明確な手当や賞与がつくだけ。30年務めても、息子や娘の給与に追いつかない。責任は重いのに、給料は軽い」と述べ、安心して働ける処遇を求めた。
コメントをお書きください