ニチイ学館など介護サービス会社の労組でつくるUAゼンセン日本介護クラフトユニオンが組合員8万人を超え、目標の10万人組織実現へ一歩近づいた。10月19日、都内で開かれた定期大会で報告された。運動方針は、利用者や家族からのハラスメント(嫌がらせ)から組合員を守る集団協定の効果について点検し充実させることなどを掲げている。
1年間で、介護大手SOMPOケア系列の食事提供会社(3130人)、介護付き有料老人ホームなどを展開するチャームケア(1850人)などで6分会が新たに結成された。組合員数は8万人を超えた。
個人加盟組合員もかつてない勢いで増え、1年間の加入者は400人超に。昨年から力を入れている、利用者からのハラスメントについての実態告発や防止対策、法制化を求める取り組みなど、マスメディアへの露出が増えたことが影響しているとの見方を染川朗事務局長は示した。「米国のように、個人加盟が大半を占める組合にしたい」と抱負を語った。
「特定技能」など新たな在留資格の新設に併せて、外国人労働者の受け入れも重視。まだ受け入れ数が少なく、取り組みはこれからだが、音声翻訳機の活用を含めて組合への加入を強める。労働法に違反する働かせ方を防ぐための環境整備も課題だ。
利用者などからのハラスメント防止協定については、今年加盟組合のある42法人と締結しており、取り組み内容や効果の点検活動を行う。好事例を知らせ、水準の引き上げを図る。業界団体にも支援、協力を求める考えだ。
この推進母体は、加盟組合のある企業労使で作る「介護業界の労働環境向上を進める労使の会」(使用者側の代表幹事はケア21)。ゆくゆくは賃金・労働条件について企業横断的な集団交渉への発展を展望している。
●介護処遇加算に懸念も
久保芳信会長は10月に開始した介護職員への特定加算について「一部給付されない職種があることや、加算の配分が複雑であることで混乱をきたすのではないかと危惧している」と懸念を表明した。
介護現場での人手不足の要因は、労働条件の低さにあると指摘。全産業平均と6万2千円の賃金格差があるとし、「介護保険制度の崩壊を招かないためには、賃金をはじめとする労働条件の引き上げが急務」と強調した。
〈写真〉日本介護クラフトユニオンの大会会場では、核兵器禁止条約への批准を日本政府に求める署名活動も行われた(10月19日、都内)
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