全日本教職員組合(全教)は10月18日、公立学校の教員に1年単位の変形労働時間制を導入する法案に反対する請願署名約9千筆を国会議員に託した。政府は同日午前、法案を閣議決定。国会内で開かれた緊急集会では法案への批判が集中した。
法案の主な内容は、公立学校の教員に適用される「給特法」を改正し、労働基準法に定められた1年単位の変形労働時間制を、労使協定を締結しないで条例で実施可能にする。授業のない夏休み期間中に休日のまとめ取りが可能になるとも報道される。
全教常任弁護団の加藤健次弁護士は法案について、「一番の問題は、長時間労働の実態が調査で明らかになっているにもかかわらず、(残業を自発的とみなし)労働時間として認めないまま(議論を)出発していることだ」と批判した。導入されれば、授業期間中の所定労働時間が延びると指摘し、「週40時間・1日8時間労働は授業期間中に適用されなければ意味がない。8月にまとめて休める保障はない」と述べた。
公務員は地方公務員法により、労基法2条の労使対等の原則が適用されないことに触れ「労使対等原則が保障されない下で、労使協定なしに一方的に労働時間を決めるのは、労基法の改悪に等しい。給特法によるクーデターだ」と憤った。
全労連の岩橋祐治副議長は、労使協定によって残業の例外を認めるのが労基法の趣旨だと強調した。「1年単位の変形労働時間制は、労基法改正時に週40時間制と併せて、労働時間をさらに短縮する目的で設けられた。残業や休日出勤がないことが前提の制度設計だ。(教員の労働実態には)その前提がない」と述べ、導入は許されないと訴えた。
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