「なくそう!官製ワーキングプア第7回大阪集会」が10月14日、大阪市内で開かれ、約150人が参加した。来年4月施行の改正地方公務員法などによって、会計年度任用職員制度がスタートし、自治体で働く非正規職員の多くが移行する。期末手当(一時金)の支給など、処遇改善が注目される一方、不利益変更の提案が少なくないとして、当事者らが声を上げた。
発達障害の児童や困窮家庭などの支援、相談を担う家庭児童相談員。大阪市ではその大半が非正規で働く女性だ。大阪市家庭児童相談員労働組合の組合員によると、制度移行に伴い、市は月収2~3万円減の条件を示しつつも、期末手当支給で年収を維持するという。「月収が下がれば、超勤手当、失業手当も下がる。同制度で正規と非正規のバランスを取るというが、むしろその差は広がる印象だ」と指摘した。
業務の中でも児童虐待への対応は負担が大きく、組合が手当を勝ち取ったという経緯がある。「(月収減などの)提案が続けば、賃金の高い民間や他の自治体へ移るのではないか。辞める人が増えれば、相談業務の質の低下も見込まれる」と懸念を示し、人員確保も含めた交渉を続けると決意を表明した。
吹田市関連職員労働組合は、正規と同様の昇給制度などに代わる「割増報酬」を実現してきた。ところが近年、大阪維新の会などによって、非常勤職員の報酬額に上限が設けられた。さらに市は、会計年度任用職員制度への移行に合わせ、報酬の引き下げや昇給廃止、一部の期末手当不支給など、不利益変更を提案。7回にわたる交渉の結果、現行の給与保障や期末手当支給を勝ち取るなど、提案を押し戻したという。
報告した組合員は「(総務部だけでなく)各非常勤職員の所管部局とも交渉した。労使交渉で合意できない部分は継続協議という条件付きで妥結。制度移行の条例は10月7日に可決成立したが、絶対に諦めない」と語気を強めた。
制度移行で、特別職非常勤職員の多くは、労働基本権を失う。ユニオンらくだ・非常勤嘱託職員部会の組合員は「公務で数少ない労組法上の労働組合だ。労働組合として存在できるかが大きな問題。他の労組とともに国際労働機関(ILO)に提訴している」と述べた。
●民間の裁判原告が激励
労働条件の格差是正を求め、労働契約法20条で闘う大阪医科大学裁判の原告はエールを送った。大阪高裁は今年2月、賞与で正職員の6割支給などを認めた。原告はフルタイムのアルバイト秘書で、正職員と同じ時間、仕事内容で働いてきたが、年収は正職員の3分の1程度だったという。
会計年度任用職員制度に関しては「期末手当は月収を下げずに払うべき。(収入増で)年金の掛け金が増えれば、受給額も増える。非正規で働いている人も、将来心穏やかに暮らせるようになれば」と語った。
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