連合は10月10、11日、都内で定期大会を開き、「全ての働く者をまもり、つなぐための集団的労使関係の追求」などを重点とする運動方針を確認した。大会以降、組織機構の大幅な見直しに着手する。神津里季生会長は3期目。相原康伸事務局長、逢見直人会長代行も留任する。
運動方針は(1)集団的労使関係の追求(2)政策機能の強化と実践(3)ダイバーシティ(多様性)・フェアワーク(公正な労働)が根付く職場・社会の実現――を重点分野に設定した。これまで「雇用・ワークルール・社会的な賃金相場形成」の課題の下に、組織、政策、平和、政治、国際など七つの運動を縦割りで進めてきたが、今後5年間、重点分野に人材や財政の資源を集中するという。
具体的な方針では、過半数労組がない職場で、労働者の代表が経営側に賃金・労働条件などについて意見を述べる「労働者代表制」の法制化の検討を掲げた。労働協約の効果を組合のない職場に拡張適用させる現行法規の要件緩和も検討する。増加が見込まれる「曖昧な雇用」で働く人への法的保護の実現と、組織化による問題解決を図るとした。
既存の産別に加入できない組合の受け皿として「地域ゼネラル連合(仮称)」の創設と、曖昧な雇用などで働く人を連合と緩やかにつなぐ「ネットワーク会員(仮称)」制度の創設の検討に着手する。
政策分野では、人工知能(AI)など技術革新の進展と雇用への影響について考え方を取りまとめる。相原康伸事務局長は「連合に来れば新たな知見に出会えるようにしたい」と産業政策への抱負を語った。
顧客からの嫌がらせを根絶するための社会的合意形成や、長時間労働を招く商習慣の見直し、解雇の金銭解決制の導入阻止も盛り込んだ。核兵器禁止条約への批准を日本政府に求める一千万署名の達成を呼びかけている。
連合本部内の統治機能の強化、地方連合会、地協の活動と運営体制の見直し、財政などの機構改革を進めていく。
〈討論〉連合への注文相次ぐ
情報労連は、IT産業の多重下請けの最末端では曖昧な雇用で働く人が少なくなく、ハラスメントや一方的な契約解除が行われているとし、「誰もが曖昧な雇用になる可能性がある。集団的労使関係の形成へ、労組は役割を発揮すべき。労働者概念の拡張や法的保護だけでなく、ゆるやかに連合とつながれるようにするべき」と方針を歓迎した。
UAゼンセンは悪質クレーム根絶へ社会的合意をつくる取り組みを要望。全国ユニオンは安倍政権下での9条改憲反対の表明を求めた。
自治労は原発事故被災地に住む代議員が発言。原発依存からの脱却を掲げた連合の政策の発信を求めるとともに、「立憲主義をじゅうりんする史上最悪の安倍政権をやめさせるには何としても強力な野党を」と本部の対応を求めた。電機連合も参院選で支持政党が割れたことについて「大きな反省が必要だ」と問いただした。
損保労連は長時間労働を招く商習慣の改善の取り組み強化を要請。日教組は臨時国会の焦点となる給特法改正案は不十分とし、抜本的見直しを求める立場を表明した。JR連合は、JR東日本で広がる「組合不要論」に危機感を表明し、集団的労使関係の意義について発信を求めた。
〈写真〉連合大会では「運動の再構築」を進めるとした大会宣言を採択した(10月11日、都内)
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