ノルウェーのオンライン食事配達会社「フードラ」のストライキ(9月5日付で既報)が9月27日、5週間ぶりに終結した。同社は、合同労組と団体協約を締結し、3年ぶりの賃上げなどに合意した。オンラインの食事配達会社が労働組合と全国協約を結ぶのは世界で初めて。
105人の配達員が首都オスロで始めたストは、日を追うごとに仲間を増やし、他市にも波及した。長期闘争となったが、組合は潤沢なスト基金を使って闘い抜いた。組合やスト参加者は、連日市内を自転車で回ったり、ソーシャルメディアを活用して世論を味方につけた。
闘いの行方は国内外から注目され、国際労働機関(ILO)のガイ・ライダー事務局長も、外遊先のオスロでスト参加者を激励した。日本でウーバーイーツ配達員の労組結成を支援している全国ユニオンも連帯のメッセージを送った。
会社は最後まで協約を結ぶことを嫌がり、輸送業の協約賃金ではなく同社の賃金モデルを採用することで両者が歩み寄った。3年分の賃上げは、専業の配達員で約18万円。自転車やスマホといった諸経費を会社が応分負担することや冬季手当の支給を勝ち取るなど、組合の要求に沿った全面的な勝利だ。
合同労組は、スト参加者に収入の9割を保証する闘争資金があったことやフードラが配達員を「従業員」と定めていたことが、闘いを有利に運んだと振り返る。「新しい協約は定期昇給や早期退職などが盛り込まれ、他の協約と見劣りしない」。来年3月末まで有効で、両者から改廃の申し出がなければ、2年協約に自動更新される。(国際運輸労連政策部長・浦田誠)
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