独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)が9月18日に発表した「人手不足等をめぐる現状と働き方等に関する調査」の結果によると、「働き方改革」を「行っている」と答えた企業は6割に上る。企業規模が小さくなるほど実施割合は低下する。下請け企業の約4割が親会社の働き方改革による影響を受けていることも分かった。
調査は3月、従業員20人以上の企業2万社を対象に行い、4599件の回答を得た。
働き方改革を「行っている」と答えた割合は全体の57%。企業規模別にみると、300人超が83%で最も多く、100人超~300人が66%、50人超~100人63%、50人以下が51%だった。一方、関連法施行への準備を「進めている」と答えた企業の割合は72%で、小規模になるほど少ない(表)。
準備を進めていない理由で最も多いのが、「日々の業務遂行で精一杯のため」(44%)で、以下「有効な取組方法が分からないため」(36%)、「ノウハウを持つ人材がいないため」(25%)と続く。「(法の)施行まで猶予があるため」は15%と4位。「経営トップに機運が醸成されていないため」も12%ある。
働き方改革関連法は、残業の上限規制が今年4月、手当や福利厚生に均等・均衡処遇を求める「同一労働同一賃金」が2020年4月に施行されるが、中小企業についてはどちらも1年間適用が猶予されている。
●しわ寄せは従業員に
調査では下請け企業に対し、親企業の「働き方改革」による影響の有無を聞いている。
職場環境・雇用管理で影響を受けていると答えた下請け企業は、「大きな影響」(9・3%)、「ある程度の影響」(26・8%)を合わせ36%に上る。親会社への依存度が強いほど、常に取引のある親会社の数が少ないほど、影響を受ける度合いが強まるという結果が示されている。
今のところ影響はないが、今後3年以内に影響があるとみる企業(28%)を含め、具体的な影響(見込みを含む)を聞いた(複数回答)。
最も多いのが「従業員の業務負担感の増大」(46%)で、「受託取引量が増加し、業務が多忙化」(31%)、「親事業者の稼働時間に連絡等するため、従業員の日中の労働強度が上昇」(19%)など、負担増を訴える声が続く。
一方、「親事業者の働き方改革の取り組みを参考とし、自社も同旨の取組に着手」(30%)、「受託取引量が減少し業務が沈静化」(12%)、「従業員の負担感の減少」(8%)というものもあった(グラフ)。(数値はいずれも小数点以下第1位を四捨五入)
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