9月8~11日に開かれた英国労働組合会議(TUC)年次大会は、満場一致で「生理の貧困」に取り組む動議を採択した。日本での報道は皆無に等しいが、14歳~21歳の英国女性の1割は、生理用品を買う財政的余裕がない。12%は代用品を使っている。こうした理由から昨年は、約14万人の女子学生が生理中に学校を休んでいる。いじめにあったり、友達を失うものも多い。
英国ではリーマンショック以降、保守党政府が緊縮財政を強行し、福祉予算などを大きく削減してきた。これが低所得層の家計を直撃しているのだ。ケン・ローチ監督の作品「わたしは、ダニエル・ブレイク」でも、失業給付金を失ったシングルマザーが生理用品を万引きするシーンが出てくる。
映画が公開された2016年に「生理の貧困」という言葉がマスコミに初めて登場し、慈善団体や労働組合がこの間、対策を強化してきた。情報通信労組(CWU)は、生理用品無料支給の法制化を労働党議員とめざしている。
●スコットランドで実現
スコットランド自治政府はすでに昨秋から50万ポンド(6750万円)の予算を確保して、学校や大学で生理用品を無料支給している。スコットランド議会で現在審議中の法案が可決されれば、すべての公共施設にこの取り組みが広まることになる。ウェールズ地方も同様の方向に進んでいるが、人口の8割強を占めるイングランド地方の動きは鈍い。
TUCは、こうした点に鑑み、加盟組合が引き続き国会議員に働きかけ、慈善団体との連携を強化するよう求めている。(労働ジャーナリスト 丘野進)
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