全日本教職員組合(全教)は9月16日、公立学校教員への1年単位の変形労働時間制導入阻止と教職員定数の抜本的改善を求める集会を都内で開き、約200人が参加した。秋の臨時国会で導入に向けた法改正の議論が予定されている変形労働制について、全教常任弁護団代表の加藤健次弁護士が法律上の問題点を解説した。
加藤弁護士は1年単位の変形労働時間制について、「文部科学省の勤務実態調査で長時間労働の実態が可視化されたが、それを見えなくしようとするのが導入の本質だ」と指摘した。公立学校の教員に適用される給特法では、授業準備などの残業が自主的活動とみなされているが、労働時間と認めることが長時間労働是正の出発点だと強調。その上で、労使対等の原則に基づく労働基本権を制約したままで導入するのは論外だと一蹴した。
導入によって、1日の所定労働時間が延びることを問題視し、「変形労働制は全体の労働時間を減らし、ゆとりを作る趣旨の制度。恒常的に残業している職場に導入してはいけない」と語気を強めた。
法改正では、労使協定を結ばなくても、条例などで導入を可能とする方向が予想されるとし「労働者代表が関与しないやり方が許されるのか。憲法27条、28条違反も考えられる」と懸念を示した。長時間労働の解消には、実労働時間に基づく残業代支払いと定数改善による労働時間短縮の抜本的措置が必要と訴えた。
〈写真〉「せんせいふやそう」のプラカードを掲げる参加者(9月16日、都内)
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