林文子横浜市長は8月、IR実施法に基づきカジノ誘致を正式表明した。同市の職員でつくる横浜市従業員労組(自治労連加盟)は機関紙「横浜市従」(9月15日付)でカジノ特集を組み、ギャンブル依存症が増えると警鐘を乱打。「住民本位の仕事がしたい」と望む職員の尊厳を傷つける施策だと訴え、今後も連載記事で問題点を指摘していくという。
●「家族も友人も失う」
機関紙はタブロイド版4ページで、うち2ページをカジノ問題に当てた。1面は簡易宿泊所が集まる市内寿町で働く精神科医、越智祥太さん(ことぶき共同診療所)のインタビュー。2008年のリーマンショック以降、若者のギャンブル依存症が増えたと語る。
「仕事が少し続くと、ためたお金をギャンブルにつぎ込んで失ってしまう。借金を繰り返し、家族も友人も失ってしまう。頑張ってきた自信と経験の積み重ねも失ってしまう。孤独に野宿生活を送り、寿町にたどり着いた人を何人も見てきました」
その上で、レースとレースの間に時間が空く競馬や競輪と違い、コンピュータ制御されて人工知能(AI)化が進んだ外資系スロットマシンは、高率で依存症を発症させる恐れがあるという。市の職員に対し「(発症してから)依存症者の対応をするより、新たな依存症者をつくらない方がいい…若い市民を自治体がカジノで依存症におとしめる方向へ向かおうとしているのは悲劇です」と訴え、カジノ反対の声を上げてほしいと要望した。
●住民本位の仕事に逆行
機関紙2面では、「週3回まで」という入場規制について、徹夜で賭博をすれば週72時間入り浸ることが可能で、歯止めにならないと解説。市長が市内の依存症患者数を「把握していない」と答弁している点も問題視している。
8月の宣伝行動で発言した政村修委員長のあいさつも紹介した。林市長が「信頼と共感の市政」を掲げてきたことに触れながら、「カジノをめぐる対応は、市民の中に不信を広げ、信頼を失っていくものだと言わざるを得ない」と指摘。行政としてカジノ推進の方向が決まれば職員として従うしかないものの、「本当にそんな仕事をしたいのか、心の中で不満を持っている職員はたくさんいる。その一人一人の心の内を労働組合は代弁をして、しっかりと問題提起していきたい」と語っている。
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