中央省庁で働く国家公務員が長時間労働に苦しんでいることは、案外知られていない。東京・霞が関に所在する官庁の労働組合でつくる霞が関国家公務員労働組合共闘会議(霞国公)の調査によれば、職員の3割が過労死の危険を感じているという。
昨年1年間の勤務状況について、今年3月にアンケートを行い、このほど結果を発表した。回答者は2169人。調査は毎年行っている。
●「業務量が多い」86%
月平均残業時間は36・9時間で、前年より3・9時間増えた。年代別では30歳未満(43・8時間)と30歳代(43・5時間)の残業が多い。過労死ラインとされる「月80時間以上」が9・8%(前年6・3%)、そのうち「100時間以上」は3・8%(前年2・7%)だった。
過労死の危険を「現在感じている」のは3・8%、「過去に感じた」(26・2%)を合わせ、約3割が過労死の危険を感じた経験を持つ。残業時間が月80時間以上の人に主な要因(複数回答)を聞くと、「業務量が多い」85・9%、「国会対応」51・6%、「人員配置が不適切」45・8%と続いた。
●「不払いがある」44%
深夜に退庁する労働者の割合は14%。そのうち「23時以降」が14・4%で、前年の9・7%から4・7ポイント増えた。国会対応が主な要因。霞国公は与野党国対委員長が申し合わせた質問通告ルール(前々日の正午まで)の徹底を求めている。
残業手当が「全額支給されている」のは48・1%(前年52・6%)にとどまり、「不払いがある」は43・6%にも及ぶ。
●厚労省がワースト
府省庁別で見ると、月平均で80時間以上残業している職員の割合は、厚労省(労働行政)が27・6%でワースト1。厚労省(厚生行政)の19・9%がこれに続く。不払いがある割合も厚労省が最悪だった。「働き方改革」を主導する厚労省の足元で長時間労働がまん延していることが、あらためて明らかになった(表)。
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