機関紙の内容が気に入らないからと、労働組合に対して市の施設からの「退去」を通知した市長がいる。大阪府枚方市の伏見隆氏だ。枚方市職労(自治労連加盟)は「組合活動への介入だ」として、大阪府労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てている。
市職労によると、組合活動への介入が始まったのは2016年から。前年の市長選挙で当選した伏見市長(大阪維新推薦)が、職員会館内にある組合事務所の使用許可について、一方的に新たな条件を付けてきた。「職員の勤務条件の維持改善及び職員の福利厚生の活動に限る」という内容で、市側は市職労が求める交渉も拒否し続けてきた。
市側は新たな使用許可条件に基づき、組合の機関紙「日刊ニュース」の記事内容に言及し始め、定期的に組合に是正を求めてきたという。高橋洋副委員長は「戦争法(安保法)やTPP(環太平洋経済連携協定)反対、安倍政権・維新政治への批判がやり玉に挙がった。組合活動への介入と同時に、言論・表現の自由への侵害だ。市長が一方的にルールを決めて、一方的に判断するということ。市長の胸先三寸で決まるなんて、公正なやり方ではない」と批判している。
市側は昨年末、機関紙の内容が会館使用の許可条件に反しているとして、組合事務所の退去を通知。市職労は今年1月、不当労働行為の救済を申し立てた。2月には府労委から、これ以上労使紛争を拡大しないよう求める市長宛の「要望書」が出された。その後、市長は組合事務所の使用許可を認めた。
しかし、組合活動を制限する条件は今もそのまま。市職労は同条件の撤回と交渉開催を求めており、府労委に対して正当な救済命令を出すよう要望している。
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