今年の原水爆禁止世界大会は、核兵器禁止条約の早期発効をめざし、世論を高める取り組みが提起されました。8月6日には南米ボリビアが批准し、批准国数は条約発効要件の半数に到達しました。広島、長崎の平和式典では両市長が条約批准を促すなど、日本政府は唯一の戦争被爆国として役割を発揮すべき、との声が強まっています。
核兵器禁止条約は、核兵器を「非人道兵器」とし、開発、保有、使用、威嚇を禁じた国際条約。2017年、国連で122カ国の賛成で採択されました。日本政府は棄権しました。
条約は50カ国の批准で発効し法的効果が生じます。批准は現在25カ国。「発効は時間の問題」とみられています。
核兵器をめぐる国際条約には来年50周年を迎える核不拡散(NPT)条約があります。核保有国を米英仏中ロの5カ国に限定する代わりに、核軍縮の努力を義務付ける枠組みです。
しかし近年、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮など核保有国は増加。米国は中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱や、小型核兵器の開発を進めるなど、新たな核軍拡競争が始まりつつあります。来年開催される5年に一度の再検討会議での議論が注目されます。
一方、唯一の戦争被爆国である日本の政府は、核兵器禁止条約について「現実的ではない」と否定的な姿勢です。米国の「核の傘」が日本の安全保障に必要という立場ですが、核兵器で威嚇し合う構図を変えなければ、いつまでたっても核兵器はなくせません。
核兵器はひとたび使用されれば、無残な死と、熱線や放射線障害などによる過酷な苦しみを生じさせます。被爆の実相を知る唯一の戦争被爆国として、日本の役割が問われています。
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