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    雇用安定措置6割が未実施/連合が派遣労働者調査/低い賞与・退職金支給割合

     2015年の労働者派遣法改正で設けられた「雇用安定措置」は6割が未実施――。連合は7月26日、こんな調査結果を発表した。政府が当時、「正社員化を進める」とした改正理由がほとんど機能していないことがうかがえる。改正法の内容が十分知らされていない問題も明らかになった。処遇面では、賞与が支給されている割合が著しく低い。

     6月、調査会社を通じ、全国の民間企業に勤務する20~69歳の派遣労働者千人の有効回答を集計した。

     15年改正は、同じ派遣先への派遣期間が3年以上になることが見込まれ、就業継続を希望する者について、派遣元に「雇用安定措置」を義務付けた。内容は(1)派遣先への直接雇用依頼(2)新たな派遣先の提供(3)派遣元での無期雇用(派遣労働ではない就労)(4)教育訓練や紹介予定派遣――。

     調査は、派遣期間3年以上の145人について同措置の実施状況を聞いたところ、「いずれも講じられていない」が64・1%、「希望していない」が55・2%に上った。

     雇用安定措置を希望しなかった人に理由を聞いたところ、「詳細がわからないから」「そのような話は初めて聞いた」「説明を受けたことがない」(いずれも派遣期間3年以上)など周知が不十分なケースが見られたという。

     法改正から4年たつが、「知らなかった」割合は全体で約4割。特に20~30代が5割前後と多い。

     一方、雇用安定措置が実施されたケースでは、派遣元での無期雇用が15・2%で最も多く、派遣先への直接雇用依頼は7・6%にとどまっている(グラフ1)。直接雇用依頼は、「依頼」するだけでよく、結果についての責任は問われない。

     

    ●賞与は9割が対象外

     

     処遇についても聞いた。通勤手当の支給は、19%が派遣先の正社員と同じ内容・基準、32%が異なる内容・基準で支払われているとし、約半数の48%が支給対象外と答えた。

     さらに、「ボーナス」は89%が支給対象外(グラフ2)。派遣先正社員と労働時間・業務・責任が同じと答えた人でも84%が支給されていない。退職金も91%が対象外で、働き方が正社員と同じ人でも88%に上る。

     派遣先の正社員などと均等・均衡処遇を図る18年改正法が来春施行される。同じ業務で働く派遣先正社員の賃金や手当、福利厚生で均等・均衡の処遇が義務づけられる(派遣元で労使協定を結ぶ場合を除く)。

     この法改正について、「詳細まで知っていた」は5・2%、「詳しくではないが知っていた」が46・2%だったが、「知らなかった」は約半数の48・6%。知らなかったとする割合は20代が67%、30代が53%と若年層ほど多くなっている。