NHK連続テレビ小説「なつぞら」のヒロインは、東映動画(現在の東映アニメーション)に実在した奥山玲子さんがモデルだ。職場には労働組合があり、奥山さんも組合役員を務めて女性の権利拡充に努力したという。その組合は40年近くかけて、「個人請負」の働き手約200人の直接雇用化を勝ち取っている。
朝ドラの放送を機に東映動画労組の闘いの歴史を学ぼうと7月16日、映演労連などが学習会を開いた。
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労働組合は1959年3月に結成されるが、まもなく解散に追い込まれた。当時を知る男性は「組合結成を知った東映本社が乗り込んできて『労働組合として盾突くなら会社をつぶす。(組合と会社の)どちらを取るんだ』と迫ってきた。私たちも未熟で準備不足だった」と語る。
その後、有志でスタジオ周辺にアパートを借りて勉強会を開きながら、各職場で労働者への説得を続け、61年9月に再結成へとこぎ着けた。
●60年代に個人請負化
学習会で講師を務めた木村智哉さん(アニメーション史研究家)によると、56年の会社発足当初は制作部門でも正社員が基本だったが、62年からアニメーターの「個人請負」化が進んだ。初のテレビシリーズ進出でコストがかさんだことを理由に、作画職は個人請負として採用することが基本方針となった。66年から新卒正社員の採用を停止し、新規採用は長らく「契約者」という名の個人請負が前提となってきたという。
組合は雇用形態の複雑化や格差が広がる中、雇用継続や褒賞金(一時金)などの権利獲得を目指して闘ってきた。70年12月には「個人請負」の働き手が東映動画契約者集団を結成。労働組合の名称はないが事実上、契約内容の交渉をしていた。その後、労働組合へと発展し、76年に東映動画労働組合と合併した。
●200人に労基法適用
2001年頃、個人事業主として確定申告した際、税務署は経費のほとんどが会社持ちになっていることに疑問を持ち、「給与」として扱うよう会社に勧告。もともと健康保険と厚生年金に加入している実態があることからも、組合は給与所得者として扱うよう強く要求し、実現できた。
こうしたことを契機に組合は、労働基準法を適用を迫った。しかし、会社は先送りし続けた。
組合は会社との契約更新の際、契約書に意見書を添付する運動を2010年以降、展開した。給与所得者として社会保険に加入し、所得税や社会保険料が天引きされている実態を意見書に明記し、会社に圧力をかける取り組みだった。
大きく動いたのは15秋闘と16春闘。個人請負だった約200人を直接雇用し、労働基準法を完全適用することで労使が合意。正社員との労働条件格差を縮めることになった。
東映動画労組の河内正行副委員長は「76年の合併時に規約を改正し、どんな立場であっても労働組合に入れるようにしたのが大きかった。こつこつやって、ここまできた」と語っている。
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198Xで調べろ (水曜日, 08 4月 2020 09:39)
確かあのクソ組合、とあるアニメの制作をボイコットし、潰そうとしてなかったっけ?
めった (土曜日, 13 6月 2020 00:06)
>1 ボイコットして意思表示するのが組合の役割。会社の言いなりになったら何も状況は良くならない。
ありえへん (火曜日, 08 12月 2020)
https://precariatunion.hateblo.jp/entry/2020/10/05/192234